2世代、そして3世代が一つの家で生活する、二世帯住宅。
今回は、そんな二世帯住宅の間取りを決める際に気をつけるべきことや実際の間取り例をご紹介します。
INDEX
- 二世帯住宅とは
- 二世帯住宅の最低建坪と相場
- 【二世帯住宅のタイプ別】特徴とメリット・デメリット
- 二世帯住宅の購入に失敗しないポイント
- 二世帯住宅を建てる際の補助金はある?
- 二世帯住宅を建てる際の税金について
- 家づくりについて相談会で聞いてみよう
- まとめ
二世帯住宅とは
二世帯住宅とは、親世代と子世代、それぞれの世帯がひとつの屋根の下で生活する住居のことを指します。
二世帯住宅は、キッチンや浴室といった部屋を二世帯が共同で使うように設計される場合もあれば、プライバシーを守るために、それぞれがキッチンや玄関などを別々にもつ場合などもあり、さまざまなタイプに分類されます。
主なタイプとしては、二世帯が同一の空間で一緒に生活する「完全同居型」、一部の設備や部屋のみを共用で使用する「部分共用型」、親世帯と子世帯、それぞれの居住空間が完全に独立した「完全分離型」の3つにわけることができ、家族の形態や要望によってタイプを選択することができます。
二世帯住宅の最低建坪と相場
二世帯住宅の建坪は「部屋の畳数×1.6~1.8÷2」で求めるのがひとつの目安です。
この計算をもとに計算すると、玄関を共用スペースとしたコンパクトな二世帯住宅を建てる場合30坪台~、もっとゆとりある空間を求めるのであればそれに応じた面積が必要になります。
共有型の二世帯住宅ではなく分離型にする場合はさらに建坪は大きくなるでしょう。
次に、おおよその相場についてです。
二世帯住宅は、完全同居型、部分共用型、完全分離型の順に建築費用が高くなります。
それぞれのタイプの費用は施工する会社や取り入れる設備のグレードによって変わってきますので、一概にはいえませんが、目安として3000~5000万円台の価格帯になるケースが多いです。
世帯別に二棟を新築するよりは割安に計画することができますが、水回りや玄関を世帯別に設けたいなどの要望次第では金額が大きく変わってきます。
【二世帯住宅のタイプ別】特徴とメリット・デメリット
二世帯住宅を建てる場合、単世帯住宅を計画する時に比べ慎重に間取りを検討していく必要があります。世代が異なる家族が一緒に暮らすとなると、気をつけるポイントが出てきます。
まず、親世帯と子世帯ではライフスタイルが異なり、活動時間がずれることを前提に間取りを考えましょう。お互いの生活音が気にならないよう生活空間や寝室、水回りの配置を検討します。
また将来親世帯の介護が必要となった時のために、バリアフリーに配慮した設計をしておくことも重要です。廊下や間口は後から広げることが難しいため予め計画しておきましょう。
子世帯にとっては育児真っ最中での建築になることも多いもの。忙しい毎日の家事負担が少しでも減るよう動線等を検討すると良いでしょう。一方で、いずれ子ども達が巣立っていくことも頭に入れておくと、将来的に空いた空間を活用できるよう工夫することもできます。
特に介護や子育てなど、家族みんなで協力して暮らしていく場面では世帯間の距離の取り方も重要なポイントです。近すぎても気を遣い、離れすぎても不便となってしまうため自分たちにとってどの程度の距離感が丁度良いのかを話し合いましょう。
このように生活リズムの異なる世帯が一つ屋根の下に住む際にはお互いにストレスを感じないよう配慮するとともに、長期的な視点に立って考えることも大切です。
二世帯住宅は、生活の仕方やライフスタイルに合わせて大きく3つのタイプにわかれています。
ここでは、それぞれのタイプの特徴についてまとめていきます。二世帯住宅を建てる際には、より自分に合ったものを選択できるようぜひ参考にしてみてください。
完全同居型
通常の一戸建ての住宅に、二世帯が同居するタイプの二世帯住宅です。
この二世帯住宅では、玄関、キッチンやお風呂などの内部設備までのすべてを二世帯で共有します。
完全同居型の二世帯住宅のメリットは、ほかのタイプの二世帯住宅と比較して、建築費用を一番安く抑えることができることです。
水回りや玄関など様々な設備を二世帯それぞれが所有する場合、倍のコストがかかりますが、完全共用型であれば設備コストを抑えられるため、建築費用を安価にできます。
さらに、将来的に子世代の一世帯となった場合でも、スペースを持て余すことなく単世帯住宅として住むことができるため、将来的にもメリットのあるタイプです。
デメリットとしては、すべてを共有するタイプですので、プライバシーが確保されにくいことがあげられます。
また、電気や水道、ガスといった公共料金の支払いで、各世帯がどれだけ使用したかがわかりづらいため、料金の負担割合が曖昧になる可能性があります。
―完全同居型 間取り例―
こちらは玄関から水回り、リビングダイニングまで二世帯で共有する完全同居型のプランです。
単世帯のプランに両寝室を加えた形のため、コンパクトにまとまっています。
大屋根のかかる部分に子世帯が過ごす二階が、下屋部分に両寝室が配置されています。二階が乗っている部分はLDKの上に当たり、二階の音が両寝室に響かないよう生活音に配慮をした設計です。
またリビングと両寝室の間には6畳の和室があり、緩衝材としての役割を果たします。子世帯が一階で過ごしていても音が直接伝わらない他、両親は和室で別にくつろぐこともできます。
そしてリビングと和室、外と中を繋ぐのが土間サロン。
庭仕事の休憩に。子どもを見守りながらお茶をしてもよし。二つ目の玄関として。子どもが学校から帰ってきたらここでおじいちゃんおばあちゃんとおやつを食べ宿題をする、そんな使い勝手の良い空間があることで、家族みんなの心にゆとりが生まれるかもしれません。
部分共用型
玄関を共用とし、階数などで世帯の居住空間を分けるタイプの二世帯住宅です。
この二世帯住宅では、玄関のみを共有スペースとし、お風呂やキッチンなどの設備は各世帯が個々に所有するケースが多いです。
居住空間が世帯ごとで独立しているため、プライバシーも保たれやすくなります。
部分共用型のメリットとしては、一部の生活空間を二世帯で共有するため、近すぎず、遠すぎず、なほどよい距離感を保って生活を送ることができます。
また、玄関からお風呂に至るまですべての設備を独立して持つ完全分離型の二世帯と比較しても、建築費用を安く抑えることができるでしょう。
デメリットとしては、電気や水道、ガスといった公共料金の支払いで、各世帯がどれだけ使用したかがわかりづらいため、料金の負担割合が曖昧になる可能性があります。
また、玄関から内部設備に至るまですべてを分離して設ける完全分離型に比べると、プライバシーの面で確保されづらい点があります。
―部分共有型 間取り例―
こちらは玄関と浴室を共有し、キッチンとリビングを二つずつ設けた上下分離型の二世帯住宅です。
部分共有型は設備や空間の一部を二世帯で共有する間取りですが、何を共有するかは家族ごとに異なります。
一階は両世帯が集まってゆったりと過ごせる主な生活の場に。
座卓は大人数で食事をとる際にもぴったり。火のサロンや土間サロン、ウッドデッキなどたくさんの居場所があり、それぞれが思い思いのことをして過ごしつつも同じ空間で同じ時を過ごせる間取りです。
二階は子世帯の空間として。
こちらもやはり、一階LDKの上部に配し、両寝室とは距離を取りました。サブリビングとサブキッチンを備え、気兼ねなくくつろげます。キッチンは人それぞれ使い方が分かれる部分。使用頻度が高く過ごす時間も長いため、キッチンを分けるとストレスが減る場合があります。
プライバシーを守りつつ、両世帯が無理なく一緒に暮らしを楽しめる、そんなプランです。
完全分離型
玄関を二箇所設け、さらにリビングダイニングや水回り設備に至るまで全てを世帯ごとに持つ二世帯住宅です。各階または、格棟にて、居住空間を世帯ごとに分離します。
このタイプの二世帯住宅のメリットは、なんといってもプライバシーが確保されやすいことでしょう。
単世帯住宅を二つ繋ぎ合わせたように各世帯が独立して機能するため、生活動線が確保され過ごしやすい間取りになります。インテリアの点でも各世帯異なるテイストとしても違和感がありません。
また、電気、ガス、水道といった公共料金の支払いも世帯ごとに把握することができるため、料金も明確です。
お子さんのいる家庭では、隣に両親が住んでいることによる安心感も大きいでしょう。
また、将来的に親世代が手放した場合でも、半分を賃貸として活用することができるといったメリットがあります。
デメリットとしては、二世帯住宅の中では建築費用が最もかさむ点が挙げられます。設備費用が倍となる点だけでなく、建築面積も大きくなるためです。
ただし各世帯が別の場所で家を個々に所有する場合と比べれば価格を安く抑えられる場合が多いでしょう。
―完全分離型 間取り例―
こちらのプランは玄関のみを共有し、左右で世帯を分けた二世帯住宅です。子世帯は二階建て、親世帯は平屋の作りとなっています。両世帯を繋ぐように片流れの大きな屋根をかけています。
この家の特徴は何と言っても通り土間。
一階の中央に位置する玄関を入ると、通り土間が伸びて北庭まで続きます。中ほどに進み、右に向くと子世帯が、左に向くと親世帯が広がります。土足で立ち入るこの空間が二つの世帯間に物理的、心理的に絶妙な距離感を生み出すのです。
それぞれの世帯に生活に必要な機能が備わっているほか、くつろぎの空間まで計画しています。
親世帯はコンパクトな平屋で、和室を中心とし、広縁でもすだれ越しに庭の草木を眺めてゆったりと過ごします。書斎はお父様の特別な空間。落ち着いた和の素材を随所に配し、大人の洗練された空間です。
子世帯は吹き抜けのあるLDKが開放的でナチュラルな空間。二階にはミニバーとシアターコーナーが完備されています。一日の終わりに至福のひと時を。雨の休日には子ども達とポップコーンを抱えて映画祭。
土間サロンには薪ストーブと囲炉裏を置いて、両世帯でのお楽しみも。
各世帯がそれぞれの趣味や生活を満喫しつつ、一つ屋根の下にいる安心感が味わえる二世帯住宅です。
二世帯住宅の購入に失敗しないポイント
二世帯住宅の購入を検討する際には、いくつか確認しておくべき注意点が存在します。
ここでは二世代住宅の購入を失敗しないために、いくつか注意点やポイントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
プライベート空間を守れるようにする
二世帯住宅では一つ屋根の下に大勢の家族が生活することになるため、家族それぞれのプライバシーが確保されにくくなってしまうという問題があります。
特に玄関やリビング、キッチン、お風呂といった部屋を二世帯が共同で使用する場合は、その分家族間での関わりも増え、自分だけの時間を確保することが難しくなってしまうのが現状です。
二世帯住宅でもプライバシーを大切にしたいという方は、完全分離型や部分共用型の間取りを選ぶ、個室を増やすなどの工夫をしお互いのプライバシーを尊重できるような間取りにしましょう。
イベントに合わせて利用できるようにする
子ども部屋を使う時期は短いと言われていますが、子どもが巣立っていった後、長期休暇や週末に帰ってくる場合のことも考えておくとより家族の時間を楽しむことができます。居心地の良い空間があれば、いずれ孫を連れて帰ってきたり、兄弟家族が集まり賑やかな時間を過ごすことができます。
反対に、子どもが多い場合は、部屋数を多くしすぎると、子どもが巣立ったあとで持て余してしまうこともありますので、見通しを立てて間取りを決めると良いでしょう。
生活リズムの違いをよく考慮する
世代の異なる家族が同じ家に住むと、それぞれの生活リズムが異なることからトラブルが起きやすくなります。
特に働く世代と老後の生活の二世帯が一緒に住む場合、価値観や生活の時間などで違いが生まれるのは当然のことです。
二世帯住宅に住む場合は、まず家族で生活リズムの違いをよく考慮し、あらかじめ話し合いをおこなっておくことも大切です。
経済的な負担や家事の分担を話し合っておく
一緒に生活するとなれば、お金の問題は重要です。
親世帯、子世帯どちらか一方に負担がかたよらないようにするためにも、あらかじめ、建築費や水道光熱費、食費などの負担割合を話し合っておく必要があります。
また、料理や洗濯、掃除といった、毎日必要となる家事についても、親世帯・子世帯がどのように分担するのか、しっかりと話し合っておきましょう。
バリアフリー対応をする
親世帯が元気なうちに二世帯住宅を建築しても、この先何があるかはわかりません。
トイレや浴室などの空間は、バリアフリー仕様にしておいたほうが、怪我の怖れもなく、これから長く安心して住み続けることができるでしょう。
また、将来的に介護が必要になることもあるため、訪問介護などに対応した間取りを考えるのも大切です。
二世帯住宅を建てる際の補助金はある?
住宅を建築するためには大きな資金が必要となりますが、それだけ経済を回す効果も高いため、国や県が補助金事業を行っている場合が多いです。ただ、補助金をもらうためには条件を満たす必要があるため、建築する際には事前に調べたり建築会社に確認したりしておきましょう。
現在二世帯住宅建築の際に使える補助金は以下の通りです。
地域型グリーン住宅化事業
地域型住宅グリーン化事業とは、地域における省エネ性能や耐久性等に優れた木造住宅の普及、また三世代同居を支援する国の補助金です。
〈助成金額〉
1. 長期優良住宅 140万円
2. 高度省エネ型(認定低炭素住宅) 90万円
3. ゼロ・エネルギー住宅 150万円
三世代同居の場合は30万円の加算が出来ます。
※事前にグループを組んで登録した地域の中小工務店(年間供給棟数50棟未満)で建築する必要があります。
【参照】地域型グリーン住宅化事業
信州健康ゼロエネ住宅助成金
長野県では高い断熱性能を有し、県産木材を活用した住宅を新築する場合に、50~150万円を助成しています。
〈助成対象者〉
県内で自己の居住用に対象住宅を新築する方
〈助成金額〉
基本額50万円+選択項目に該当する項目の数に応じて加算(最大合計150万円)
いずれも対象年度により条件が異なったり、上限予算に達すると助成金が受けられないこともあるため、最新の情報は各助成金のHPをご確認ください。
二世帯住宅を建てる際の税金について
二世帯住宅を建てる際に関連する税金について見ていきます。条件を満たすと節税に繋がる場合があるため、確認しておきましょう。
その際の注意点が一つ、登記です。
家を建てたら所有者を明示するため登記をします。二世帯住宅では三種類の登記方法があり、どの登記をするかで税金ごとに扱いが変わります。
登記には親または子のどちらか単独で登記する「単独登記」、親と子が出資割合によって登記する「共有登記」、2戸の独立した住宅として親子それぞれが登記する「区分登記」の3種類あります。区分登記は玄関が2つある完全分離型の二世帯住宅のみで選択できます。
上記を踏まえた上で、それぞれの税金について見ていきましょう。
相続税
相続が発生した時にかかる相続税ですが、同居していてその家に住み続ける家族は軽減措置を受けることが出来ます。
「小規模宅地等の特例」というもので、相続する自宅が建っている土地の面積330㎡までの評価額が80%減額されます。ただし、建物について区分登記をしている場合は、軽減措置が受けられません。
不動産取得税
建物や土地を購入した時にかかるのが不動産取得税です。
課税標準額×3%が計算式ですが、要件を満たせば課税標準額から一戸当たり1,200万円が控除されます。二世帯住宅を区分登記している場合2戸分とみなされ、2,400万円の控除がされます。
固定資産税
家や土地を所有しているとかかる固定資産税も、条件を満たすことにより軽減措置を受けることが出来ます。
こちらも不動産取得税と同様に区分登記することで二戸とみなされ、一戸当たりに適用される軽減措置を二戸分受けることが出来ます。
土地については建物が建っている土地について一戸当たり200㎡までの部分を「小規模住宅用地」として課税標準額が1/6に軽減されるため、二戸分の400㎡までが1/6に軽減されます。
建物については新築住宅の一戸当たり120㎡までの固定資産税が最初の3年間1/2に軽減されるため、2戸分だと240㎡が減税対象となります。
贈与税
二世帯住宅を建築する際には、住宅ローンを組む方法の他にご両親からの資金援助がある場合も多いですよね。
一般的に、金品を贈与されると基礎控除額の110万円を超える金額に対して贈与税がかかります。しかし、両親や祖父母などの直系尊属から住宅取得のための資金援助を受けるのであれば一定の金額が非課税となる場合があります。
具体的には耐震性や断熱性の高い省エネ等住宅の場合1,000万円、それ以外の住宅の場合には500万円までが非課税です。
条件として、新築した住宅の床面積が40㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が(贈与を受ける)子世帯の居住スペースであること。贈与を受ける子の合計所得金額が2,000万円以下であること等があります。配偶者の両親からの贈与は適応にならないので注意が必要です。
詳しい条件等は国税庁のホームページで確認してみてくださいね。
【参考】直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税(国税庁)
税金の計算や登記の相談も建築会社が行ってくれるため、相談してみると良いでしょう。
家づくりについて相談会で聞いてみよう
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まとめ
二世帯住宅は家族をいつでも近くに感じることができ、安心して住むことができる家です。
二世帯住宅をご検討の方は、ぜひ今回ご紹介した間取りを参考にしてみてはいかがでしょうか?
また、二世帯住宅を長野県で建てたいとお考えの方は、ぜひ私たちフォレストコーポレーションにお問い合わせください。信州の自然を感じながら過ごせる二世帯住宅を、ご家族に合わせてご提案いたします。完全自由設計のため、ご家族のご要望にあわせた素敵な住まいをご提案いたします。気になる方は、お気軽にご相談ください。
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