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地震に強い家の構造とは?耐震性を高める要素や費用をご紹介

公開日:2021/05/17(月) 更新日:2023/09/14(木) 家づくり

大地震で倒壊した建物

東日本大震災や熊本地震などの大きな震災が相次ぎ、住まいの耐震性への関心が高まっています。
日本はいつ災害が起きてもおかしくない国。
耐震性は新築の家を建てるときに必ずチェックしておきたいポイントです。

どんなにおしゃれで居住性が高い自宅でも、地震が来た時に倒壊するような建物では困ります。
地震に強い構造には様々な種類がありますが、どれも一長一短があります。
特徴を理解し、住み心地とのバランスを考えて住まいの構造を検討しましょう。

今回は、地震に強い家を建てるために必要なことや、注意すべき点をご紹介していきます。

 

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地震に強い家を建てる必要性

地震大国と言われるほど地震が多い日本では、地震を意識した設計の建物が増えました。
その背景には、都市部における巨大地震の発生と耐震基準の設定があります。

 

巨大地震での住宅被害が相次いでいる

阪神淡路大震災では、強い揺れによって高速道路が倒壊するなど大きな被害を被りました。
火災も発生したので被害がさらに広がりましたが、実は揺れによる家屋の倒壊のため生き埋めになって圧死する人が続出したのです。
古い家だけが倒壊したわけではなく、家の構造によって明暗が分かれました。平屋より2階建ての住宅の倒壊件数が多かったとはいえ、2階建ての家屋でも激しい揺れに耐えた物件が少なくありません。

さらに、津波を伴った東日本大震災を経て、住宅の耐震構造が見直されることになりました。
地震に強い家屋は、揺れで倒壊しないことはもとより、基礎構造が強固なことから津波の激流にも押し流されなかったのです。
頑強な家屋に居て生き埋めを回避できた人たちは、津波に流されない建物の屋根に登って救助され九死に一生を得ました。

 

建築基準法(耐震基準)に適合した家でなければ建てられない

耐震基準は1950年から設けられていましたが、宮城県沖地震を教訓として改訂され、1981年に定められた新基準が適用されています。
1981年以前が旧耐震基準、それ以降は新耐震基準と呼ばれており、新築の建物は新耐震基準に適合しなければなりません。
旧耐震基準は、震度5強程度の揺れで建物が倒壊せず、たとえ損傷しても補修により再び住めることが基準とされていました。
これに対して、新耐震基準では、震度5程度の地震でほとんど損傷せず、震度6強から7くらいの揺れでも倒壊しない強度が必要です。

これに加え、阪神淡路大震災を契機として、木造住宅の基礎を地盤の強度に応じて設計することや、骨組みとなる建材の接合部分の強化、及び壁面の耐震化なども見直しが図られました。
こうした対策により、新耐震基準が強化されたのです。

震度6の阪神淡路大震災、震度7の東日本大震災など巨大地震の映像を見ると、木造家屋の倒壊が目立って見えることから「木造住宅は地震に弱い」というイメージを持たれている方が少なくありません。
しかし、実はその多くが旧耐震基準で建てられた家屋であり、新耐震基準に適合している住宅で全壊した建物はごくわずかでした。
1981年以前に建てられた建物の多くが木造住宅であったため、木造住宅ばかりが倒壊する状況になってしまいましたが、新耐震基準に則った構造であれば木造でも地震に強い家づくりができるのです。

 

 

地震に強い家の構造とは?

耐震等級3の木造住宅

住宅の構造は主に3種類、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、木造・SE構法分類されます。
それぞれどのような特徴やメリット・デメリットがあるか、具体的に説明していきます。

 

鉄骨構造

鉄骨構造では、主に鉄鋼材を使用します。
この鉄鋼材の厚さによって、軽量鉄骨、重量鉄骨の二つに分類されることもあります。

鉄骨造のメリットは、木造で必要とされる筋交いや耐力壁を必要としないため、自由度の高い設計をおこなうことができる点です。
そのため、柱や壁を必要としない広い空間を室内に設けたい方におすすめです。
また工場生産で品質の安定したものが供給されるため、完成度が統一され品質が保証されています。

デメリットとしては、防音性や断熱性が劣ることです。
外部の音や隣室の音を遮断しづらく、通気性や断熱性がほかに比べて劣るため、これらの対策をおこなう必要があります。

 

鉄筋コンクリート構造

鉄筋コンクリート造は、一般的にマンションやビルなど中高層の建物に用いられる構法です。
建物全体を鉄筋とコンクリートで固めているため、木造や鉄骨造に比べて強度が高いのが特徴です。
防火性や遮音性にも優れているため、安心して生活することができます。

また鉄骨造と同じく、柱や筋交いを必要としないため、自由度の高い設計ができるのも魅力です。
これまで鉄筋コンクリート造は主に中高層の建物にのみ用いられる構法でしたが、その性能やモダンなデザインが人気を呼び、近年一般住宅にも用いられるようになりました。

デメリットとしては、建築費用の高さが挙げられます。
また建築費用のほかにも、建物を建てる際の地盤改良費などに高額な費用がかかることも多いのが特徴です。

 

木造・SE構法

古くより日本の住宅は木造で建てられており、現在も国内の約8割の住宅は木造であると言われています。
鉄骨や鉄筋コンクリートと比べても費用がかなり抑えられ、加工やリフォームがしやすいのが特徴です。

木造住宅では在来軸組構法という筋交いや耐力壁を必要とする構法が用いられることが一般的ですが、近年はSE構法という構法も人気です。
SE構法は、鉄骨造等で用いられるラーメン構法を木造に取り入れた構法であり、鉄骨造のように耐力壁や柱がなくても広い空間を作ることが可能です。
また、木造は将来的に部屋を区切りたくなった場合や壁を取り払いたくなった場合でも工事がしやすいため、自由度が高い構法といえます。

デメリットとしては、柱や梁に使われる木材の強度に差があるため安定した品質を供給できないこと、鉄骨や鉄筋コンクリートに比べて劣化のスピードが速いことなどが挙げられます。

 

 

家の耐震性を高める要素

地震に強い住宅の構造としては、耐震・制振・免震という大きく3つが挙げられます。

 

耐震構造

耐震構造とは、地震の揺れに耐えられるよう建物の構造を強化することです。

従来の木造建築物は、柱と梁を縦横の2方向だけに組み合わせるだけでしたが、柱を筋交いにつなぐ建材も入れることによって、横揺れに強い構造になります。
柱と柱をつなぐ壁も強度の高い素材に変え、壁自体が揺れを吸収し、倒壊を防ぐ造りになったのです。
ツーバイフォー住宅と呼ばれる耐震住宅は、柱を使わない壁工法で、頑丈な壁を組み合わせることによって、建物全体の耐震性を高めています。

建物の基礎も上部構造を安定させる構造になっており、少々の揺れでは外れたりズレたりしないよう設計されています。
大半の戸建住宅は、このような耐震構造になっているのです。

 

制振構造

制振構造は、地震の揺れを吸収する振動軽減装置(ダンパー)が壁の内部などに備えられた住宅構造を指します。

建物の揺れによって生じる歪みをダンパーが吸収するため、強い地震に襲われても建物が倒壊しないだけでなく、柱・梁・壁の損傷を最小限に抑えられるでしょう。
制振構造の優れた住宅に住んでいる人は、実際の揺れよりも小さい揺れしか感じません。居住者は地震の恐怖感も少なくて済み、安心して生活できるでしょう。
低層階のマンションなどに多い構造ですが、戸建住宅や上層ほど激しく揺れる高層ビルに備えるケースも増えてきました。

制振構造は、建物が受ける揺れを軽減するという意味で耐震構造よりも効果的で、免震構造よりもコストを抑えることができます。

 

免震構造

免震構造は、建物が土台に直接据え付けられず、建物の底部と基礎の間に免振装置を備える住宅構造です。

建物と基礎の間に設置される免振装置は、積層ゴムやダンパーといった免震部材で、地面が揺れても免震部材が揺れを吸収するので、建物に揺れを伝えません。
球状の免振部材の上を建物が左右に移動することで横揺れを抑えるタイプもあります。
地面から断絶された建物は、大きな地震でも居住者が足元をすくわれるような揺れを感じずに済みます。

室内でタンスや冷蔵庫といった重量物が転倒・移動するおそれも少ないことから、最も安全な構造と言えるでしょう。
耐震や制振より費用がかかりますが、3つの中で最も耐震効果が高く、タワーマンションといった高級集合住宅などで採用されています。

 

 

家の耐震性能の基準について

地震に強い構造

建築物の耐震性能を表わす指標としてよく用いられるのが「耐震等級」です。
この耐震等級とはどのようなものか、それぞれの等級の強さについて具体的に説明していきます。

 

耐震等級とは何か?

耐震等級とは、建物が地震に対してどれだけの耐力があるのかをランクづけるための指標です。
等級は1~3の三段階になっており、数字が大きいほど耐震性が強い建物であることを示します。

それぞれのランクごとの強度については、以下のとおりです。

住宅性能表示基準の耐震等級

  • 耐震等級・・・建築基準法の1.5倍の建物強さ
    数百年に一度程度発生する地震力の1.50倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度の強さ
  • 耐震等級・・・建築基準法の1.25倍の建物強さ
    数百年に一度程度発生する地震力の1.25倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度の強さ
  • 耐震等級・・・建築基準法レベルの建物強さ
    数百年に一度程度発生する地震力に対して倒壊・崩壊しない程度の強さ

等級3 建築基準法レベルの1.5倍

 

ホームズ君 地震被害シミュレーション動画

左が耐震等級3、右が耐震等級1の建物です。
極めて稀に起こり得る(数百年に1回は起こり得る程度)の大きさの地震を受けたときのシミュレーションを動画でご覧いただけます。
同じ地震・同じ間取りでも、耐震等級の違いで結果がこれほど変わります!

耐震性能についてもっと詳しくみる

 

 

耐震性能を比較するときに大切なこと

耐震等級の規定は、耐力壁の壁量によって定められていますが、地震に強い家をつくるためには壁量だけでなく耐力壁の配置が重要になってきます。
強固な壁を築いたとしても、その壁が建物の一部に偏っていてはバランスが悪くなってしまいます。

ホームズ君 壁配置
ホームズ君 壁配置
ホームズ君壁量計算
ホームズ君壁量計算

耐力壁の偏りのない設計を実現するために、建物の揺れにくさを示す偏心率を計算したり、床・屋根の固さを示す床倍率の確認をおこない、耐震力がバランスよく設計されるよう耐震性能を備える必要があります。

建物の偏心率
引用元:ホームズ君 よく分かる耐震

偏心率とは地震の時の建物の揺れにくさを表すもので、建物の重心と剛心の距離が大きい(偏心が大きい)ほど部分的に過大な変形を強いられることになります。
偏心率が小さくなればなるほど建物の揺れを抑えることができるため、地震に強い家を作るためには確認が不可欠です。

このように、偏心率や耐力壁の配置などさまざまな視点からチェックをおこない、総合的にバランスの取れた建物をつくることが地震に強い家を作るうえで重要なのです。

 

 

地震に強い家を建てるためにはコストが高額になる?

地震に強い家にしたいからといって、免震装置を設置しようと思ったら、相当の出費を強いられるでしょう。
一般的には免震装置の設置には一棟あたり300万円~500万円程を要する、と言われています。
地震への対策としては最も有効な免震装置が、一般の戸建て住宅ではほとんど普及していないのは、コスト面での負担が大きく影響しているからです。

一方で制震装置は比較的導入しやすく、一般的な一棟当たりの費用相場は50万円~100万円前後と言われています。
ハウスメーカーによってはオプションで制振装置を導入することが出来ることも。

いずれにしてもひとつの装置を入れれば耐震基準は万全、ということではなく、コスト面や住環境とのバランスを考えながら緻密な設計を行うことが必要です。
ここでは「地盤」と「構造」の2つに分けてお伝えします。

 

まずは、地盤改良

地震に強い家づくりのための第一歩は、地震に強い地盤を確保することです。

新築の計画の際には、ほとんどの場合に地盤調査を行います。地盤調査は法律で義務化されているものではありませんが、地盤調査を行っていなければ火災保険や事業者加入の瑕疵担保保険に入ることができません。
敷地の表面が固そうに見えても、その下には湿地帯があるのか岩盤があるのか、支持層はどの程度の深さにあるのかといった目に見えない情報が、地盤調査結果から分かります。
地盤が柔らかく液状化現象が起きうる土地であると判明したら、どんなに耐震性の高い構造にしても、家全体が傾いて住めなくなるおそれがあります。
地盤調査を行った場合には、基本的にはその調査結果に則った地盤改良を行う必要があります。

一般住宅でよく用いられる地盤改良工法は、表層改良工法と柱状改良工法です。
表層改良工法は、地表から2m程度の表層地盤にセメント系固化剤を混ぜ込んで地盤強化と沈下抑制を図る、最も簡易的な地盤改良方法です。
柱状改良工法は、8m程度の深さを限度とし、柱状にセメント系固化剤を混合して地中に補強体を築造する工法です。これも一般住宅で多く用いられる工法ではありますが、表層改良に比べると大掛かりな工事になるためコストもかかり、地盤改良だけで100~200万円程度になることもあります。

 

建物の耐震性を高める

土地の「地盤」の強度を確保したら、次に必要になるのは建物の「基礎」です。
基礎の構造としては、布基礎とベタ基礎の大きく2つがあります。
布基礎は旧来から用いられてきた構造で、立ち上がり部分だけに鉄筋が入っており、点で支える構造になります。耐震性能は比較的弱く、地面の湿気があがりやすいためシロアリ被害などにも弱い傾向にあります。
ベタ基礎は阪神淡路大震災以降から普及しはじめ、今では多くの住宅で採用されています。立ち上がり部分だけではなく床一面に鉄筋を入れたコンクリートで覆い、大きな面で家の重みを支えるため果汁を分散でき耐震性に優れています。ただし、布基礎に比べてコンクリートと鉄筋の使用量が約2倍になることから、コストは割高になります。

そして、建物の構造でも耐震を考えた設計が必要です。
日本の伝統工法である木造軸組みに加えて、基礎と土台をしっかりと繋ぎとめるためのホールダウン金物や、躯体同士を緊結するための火打ち金物、壁面強度をアップさせるための面材耐力壁・筋交などを、構造計算に基づいて適正に組んでいきます。
構造材をしっかりと備えるとそれなりにコストもかかりますが、耐震性能を備えた住宅には自治体からの補助制度などもありますので、上手に活用したいものです。 

 

 

地震に弱い家の特徴とは

シロアリ被害で腐敗した木

仮に高い耐震等級を誇る建物であったとしても、条件によっては躯体が弱くなっていってしまう可能性も考えられます。
地震に弱い家の特徴をいくつかご紹介します。

 

結露によって柱や梁が腐ってしまう

壁の中には通気層があるため、その中で結露を起こし柱や梁が腐ってしまうことがあります。
特に室内気温と外気温の差が大きくなると、結露は起こりやすくなります。
目に見える場所の結露であれば問題はないですが、壁の中になると対処のしようもなければ目で見て確認することできません。
そのため木造住宅の場合、新築時は新品で強度の強い木材でも、壁体内結露が起こった場合には経年変化によって耐震等級3の品質を保てなくなる危険性を十分に理解しておく必要があります。

 

木材をシロアリに食われる危険性

木造住宅で切っても切れない問題が、シロアリ被害。
大震災で木造住宅が倒壊してしまう要因の一つとして、シロアリ被害が大きく関わっているというデータもあります。
参考:京都大学木質科学研究所「阪神大震災にみる住宅の腐朽およびシロアリ被害」

こういった危険性を少しでも減らすためにも、シロアリ対策が十分にとれた木造住宅を建設する必要があるでしょう。
近年住宅メーカーもこのシロアリ対策をおこなうべく研究を重ねていますので、自分に合った家を見つけられるように情報収集をしっかりとおこなっておきましょう。

 

部屋数が少なすぎる建物

吹き抜けがあるなど広々とした部屋は、開放感があって過ごしやすいと感じる人が多いでしょう。
しかし、耐震上は、狭小住宅でもないのに部屋数が少ない建物は好ましくありません。
広い部屋ほど柱や梁の密度が低く、建物を支える建材が少ないからです。
戸建住宅では、キッチンからリビングまで広くスペースを取った間取りに人気がありますが、耐震構造をきちんと考えておかないと地震に弱い建物になりがちです。
平屋ならまだしも、2階があれば階上部分が1階に崩落する原因になります。

広々とした空間づくりをしたい場合は、耐震構造に造詣の深い設計士に相談したいものです。

 

窓の割合が多い家

窓が多い家は、見晴らしがよく太陽光をふんだんに採り入れられて、快適な生活を楽しめるでしょう。
しかし、窓面積の占める割合が多い建物は、当然壁の面積が小さくなることから、耐震性が低くなってしまいます。特に、外壁面の75パーセント以上を窓が占める建物は、地震に弱いことを否定できません。
壁は、柱や梁と同様に建物全体を支える重要な構造物なのです。脆弱なガラス窓では、地震の揺れに耐えきれません。窓が多く壁の面積が少ない住宅は、地震の際に建物の基幹部分にひびが入って修復不能になることも珍しくないのです。

とはいえ、壁ばかりに囲まれた閉鎖的な空間では、自然の光や風が感じられず息の詰まる住まいになりかねません。
求める耐震性能を実現する壁面と、心地よい住空間のための開口部を、いかにバランスよく設計できるかが、設計士の腕の見せどころと言えるでしょう。

 

屋根が重い

日本古来の木造住宅は、屋根に土を乗せ、その上に瓦を敷いた構造になっています。重い瓦と土が乗った屋根には普段から相当の負荷がかかっており、柱・梁・壁が弱いと、地震時のリスクが高まります。
地震に強い家づくりを考えるときには、重い瓦や土などの素材よりも、ガルバリウム合板やスレートなどの軽い素材を検討しましょう。
エアコンの室外機や太陽光パネルを屋根の上に設置するのも、地震の際に建物が損傷するリスクを伴います。建物の構造を十分吟味し、力学的なアドバイスを専門家からもらって、耐震性に悪影響を及ぼさない範囲で計画したいものです。

 

1981年以前に建築された旧耐震基準の住宅

1981年以前の旧耐震基準に従って建築された住宅は、震度5程度までは倒壊しないように造られているものの、阪神淡路大震災や東日本大震災のような震度6から7の巨大地震では倒壊のおそれがあります。特に、2階建て以上の木造家屋はリスクが大きいでしょう。
だからといって、1981年以前に建てられた家屋は危険で住めないという訳ではありません。壁や柱を補強する耐震工事によって、巨大地震でも倒壊しない耐震性を備えられるでしょう。
部の自治体では、古い家屋の耐震チェックを行って、必要性が認められれば耐震工事を助成してくれることもあります。

 

 

耐震性に優れた家でも倒壊する可能性はある

建築基準法に適合した耐震性能を持つ家が倒壊してしまう例が続出したのが、2016年の熊本地震でした。
建築基準法の1.25倍の建物強さを示す「耐震等級2」で設計された家の倒壊が相次いで報告されています。
原因の一つとして考えられているのが、1階・2階の柱や耐力壁の位置関係。1階と2階がつながっている柱や耐力壁の割合を「直下率」と呼び、構造的なバランスを評価する重要な指標の一つです。
直下率の割合が低い(柱や耐力壁の位置が1階と2階で揃わない箇所が多い)と耐震計算に基づいた設計をしていても倒壊する可能性がある、ということが分かってきています。

 

 

耐震性の高い家を建てるポイント

それでは、耐震性の高い家を建てるポイントを紹介します。

 耐震性は基礎から―スラブ基礎工法

工房信州の家は全棟べた基礎(スラブ基礎)です。細かな間隔でスラブ(基礎配筋)を組み、全面をコンクリートで覆う頑丈な工法。
横揺れ(水平力)に強く、地震が起きても基礎と建物が一体になって動くことで、建物損傷を抑え、不同沈下に対しても効果的です。

 

木造軸組み工法に壁面強度をプラスする

柱、梁、土台といった木材を骨組とする、日本の伝統的な木造軸組み工法に「壁面強度」を融合させることで耐震性を高くすることができます。
もちろん、壁量や壁配置のバランスもきちんと検討。

工房信州の家では構造計算は外注せず、すべて自社の専門スタッフが行っています。
構造計算ソフトを用いながら、一棟一棟「等級3」を満たすように構造材を配置していきます。壁の偏りのない配置を実現するために、建物の編心を確認したり、床・屋根のかたさを示す床倍率の確認をします。
そして様々な角度からチェックを行い、総合的にバランスの取れた建物が「等級3」と判定されます。

 ※こちらの記事もご参考ください。
最高レベルの耐震性

 

耐震性を高める金物

耐震性を高めるためには各種金物も適宜必要です。
基礎と土台を緊結するホールダウン金物や、床・屋根面の隅角部に設置する火打金物、筋かい、柱梁を接続する金物を構造計算をしながら設置していきます。

  

図面通りに施工をする

図面上で構造計算をし耐震性を十分に検討をしても、図面通りに施工されないと意味がなく、耐震性の高い建物は完成しません。
図面通りに施工がされていることを表示する制度として、「住宅性能表示制度」の「建設住宅性能評価書」制度を用いることもできます。
第三者機関(登録住宅性能評価機関)が、図面通りに施工されているか、施工段階と完成段階で現場検査をし評価します。
完成後は見えなくなる部分まで第三者機関に検査をしてもらえれば安心ですね。

 ※こちらの記事もご参考ください。
長期優良住宅・住宅性能評価【全棟標準】

 

グリッドを意識したプランニング

最後に、地震に強い建物を建てるためのポイントとして私たちも大切にしている「グリッドプラン」。
「耐震性に優れた家でも倒壊する可能性はある」で先述したように、地震に強い建物にするためには、「直下率」を高めることが大切です。

「直下率」とは、1階と2階が繋がっている「柱」や「耐力壁」の割合。構造的なバランスを評価する重要な指標です。

柱の直下率<目安> 
×:50%未満
△:50%~60%未満
◎:60%以上 

耐力壁の直下率<目安>
×:30%未満
△:30%~50%未満
◎:50%以上 

工房信州の家では全棟直下率をチェックし、柱・耐力壁とも60%以上になるように設計をしています。

 工房信州の家が採用しているエアパス工法は、壁体内を空気が循環する工法。
1階から2階に空気を循環させるため、壁の位置を揃え空気の通り道を確保しています。そのため、必然的に柱位置や耐力壁の位置が1階と2階で揃ってきます。
耐力壁=エアパス通気層となるので、耐震性とエアパス工法は相性が良いのです。

エアパス工法とは?

 

 

建物の耐震性だけでなく、地盤の強さにも着目しよう

地縄が張られた住宅用地

地震に強い家を建てるためには、建物そのものの強さはもちろんですが、もうひとつ重要な条件として地盤の強さを考えておかなければなりません。
表層が堅そうに見えたとしても、その下には軟弱地盤が隠れていることもあります。

自分が家を建てる土地の地盤強度についてあらかじめ知っておくために、地盤調査を行います。
調査結果によっては地盤改良が必要となり、改良費用は数十万円~百万円を超える場合もあります。

戸建て住宅の地盤調査方法としてもっとも一般的なのは、スウェーデン式サウンディング調査と呼ばれるものです。
先端がスクリュー状になった棒を地面に回転貫入させることで深層の抵抗力を測り、支持層の深さを推測することができます。

地盤調査は必ずしも法律で義務化されているわけではありませんが、将来の安心に大きく関わるため新築前には必ず行いましょう。
瑕疵担保保険の加入のためには地盤調査の実施が必須です。

 

 

まとめ

東日本大震災や熊本地震が相次ぎ、家の耐震性に対する意識が高まっています。
日本は災害の多い国だからこそ、こういった対策はしっかりとおこなっておきたいですね。

地震に強い家を作りたいからと言って、建物の耐震構造ばかり強化しても、安心して住めるとは限りません。
地盤が緩かったり、隣に倒壊しそうな住宅があったりしたら、自宅の耐震性だけ高めてもあまり意味がないのです。
したがって、地盤や周囲の環境といった要因も考慮し、最適な地震対策を講じましょう。
補助金制度を利用するなど、コスト面の工夫も欠かせません。

構造面、コスト面、住み心地のバランスの取れた家づくりのためには、耐震住宅の経験豊富な専門家に相談したいもの。
私たちフォレストコーポレーションは、すべての住宅が長期優良住宅に適合し、耐震等級3の最高等級基準をクリアする高性能な住宅を提供しています。
長野県で地震に強い家を建てたい方は、長野県ならではの気候風土や助成金制度にも精通した「工房信州の家」にお気軽にご相談ください。

 

「工房信州の家」の耐震性能を詳しくみる

 

 

 


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