日本の戸建て住宅の大半を占める二階建て住宅。家に欠かせないものは階段ですよね。
盲点になりがちな階段ですが、家づくりをする上で間取りや住み心地に関わるとても重要な部分です。ここでは安全に上り下りできる階段の寸法や、安全性を高めるヒントをご紹介します。参考にしてくださいね。
目次
- 階段の寸法は法律で決められてるって本当?
- 建築基準法における階段の寸法
- 実際に上りやすいとされる階段の寸法は?
- 階段を設置する場合の注意点
- 階段の安全性を高めるには?
- 家づくりについて相談会で聞いてみよう
- まとめ
階段の寸法は法律で決められてるって本当?
階段の寸法は建築基準法で最低基準が定められているので、階段のサイズを自由に決めることはできません。
基準が定められている階段の部位は、階段及び踊り場の幅・蹴り上げ・踏み面・踊り場の位置で階段の用途や建物の面積によって最低基準が異なります。
法に定められた規定を満たしていない階段は、既存不適合建築物になる場合があるので要注意です。設計者はこの規定をまもり、使う人によって昇り降りしやすい階段の寸法を決めていきます。
建築基準法における階段の寸法
建築基準法で定められている「階段幅」「踏み面」「蹴り上げ」について用語の意味とそれぞれの基準を確認しましょう。
階段幅の基準
階段幅とは、その名の通り階段の横幅のことを指します。
4メートル以上の階段には踊り場を設ける必要があり、踊り場の横幅と階段幅の基準は同じになります。
踊り場とは、階段の途中に設けられた平らな段のことで方向転換や、万が一足を踏み外した場合のセーフスポットのために必要な場所です。また、昇降時の負担軽減やスペースの有効活用にもなりますよ。
建築基準法によると、一般住宅の階段幅と踊り場の幅はともに75cm以上と定められています。
踏み面の基準
踏み面とは(ふみづら)と読み、階段においての上面、人が足を乗せて踏む面のことをいいます。
踏み面が狭いと足が置きづらく踏み外しやすくなり危険です。反対に、広すぎても歩幅を大きく取る必要があるので使い勝手が悪くなります。
一般住宅の踏み面は、奥行き15cm以上と定められています。
小学校などの階段では踏み面の奥行きは26cm以上と定められており、一般家庭とは9cmもの差があります。このことから、一般住宅の踏み面の奥行きは他の建物よりも規定が緩くなっているといえます。
蹴り上げの基準
蹴り上げとは階段の1段の高さのことを指し、蹴上とも呼ばれています。
階から階までの高さが同じであれば、蹴り上げを低くすると段数は増えますが昇り降りは楽になります。一方、蹴り上げを高くすると段数は減るかわりに足の上げ下げが大変です。
建築基準法で一般住宅の蹴り上げは23cm以下にするよう定められています。
蹴り上げも踏み面と同様に、主に子どもが利用する小学校の階段は安全面からさらに厳しく定められており、16cm以下となっています。これは一般住宅の基準と比較すると7cmもの差があります。
小さなお子さんや高齢者がいるご家庭で階段の寸法を決める時には、一般住宅の基準だけでなく他の建物の基準も参考にするのがおすすめです。
実際に上りやすいとされる階段の寸法は?
建築基準法で定められた階段の寸法と実際に上りやすい階段の寸法は異なります。上りやすい階段寸法の計算方法を見ていきましょう。
建築基準法の最低寸法は上りにくい
前述の通り、階段の最低寸法は建築基準法により定められています。
安全面などを考慮して最低限必要な寸法が定められていますが、その基準に沿って造った階段が上り下りしやすいものであるかは別問題です。
例えば一般住宅の踏み面の最低寸法は15cmと定められていますが、大人の足には狭すぎて踏み外しやすくなります。蹴り上げも規定の23cmでは急すぎると感じる人が多いようです。
これらのことからも、建築基準法の最低寸法の通りに造られた階段は、実際には上り下りがしづらく、利用する人によっては安全にも支障をきたす階段になってしまうと言えるでしょう。
上りやすい階段寸法の計算方法
上りやすい階段寸法は、蹴り上げと踏み面のバランスによって決まります。
蹴り上げの高さは歩幅に合わせて決めるのが一般的で、標準的な日本人の歩幅である60cmを当てはめ、
蹴り上げ×2+踏み面=60cm(歩幅)
という計算式で算出することができます。
踏み面は一般住宅では最低15cm以上と定められていますが、大体20cm〜30cmあると安全だとされてます。
そこで、踏み面を20cmとすると20×2+20=60となるため上りやすい階段の高さは20cmとなります。
しかし歩幅は人によって変わり、一般的に若い人よりも高齢者の方が歩幅が短くなるとされています。
例えば、男性の歩幅は約60〜85cm、女性の歩幅は59〜68cmですが、高齢男性は52〜68cm、高齢女性は48〜62cmほどとなります。そのため、上りやすい階段寸法も人によって異なります。
歩幅より狭すぎると階段を小刻みに上り下りすることになり危険です。また、広すぎるのも大股で上り下りする必要があるので上りやすい階段寸法とはいえません。
階段寸法を決める時には、主に階段を使う人の歩幅を考慮して決める必要があります。
階段を設置する場合の注意点
階段を設置する場合の注意点として以下2点が挙げられます。
・長い目で見た設計にする
・緩やかな階段は面積が広くなる
詳しく見ていきましょう。
長い目で見た設計にする
家は建てて終わりではなく長く暮らしていく場所で、人によっては終の住処となることもあるでしょう。
そのため、階段を設置する際には長い目で見た設計にするのがポイントです。
若くて健康な時に設計した階段に、最初は上り下りに不便を感じることがなくても、子どもができたり、年齢を重ねるにつれ危険を感じるようになるかもしれません。
例えば、バリアフリーの観点からは階段の寸法は蹴り上げを16cm以下、踏み面を30cm以上にするのが良いとされています。
何歳になっても上り下りしやすく安全に利用できる階段にしておきたいですね。
緩やかな階段は面積が広くなる
緩やかな階段は、安全で上り下りがしやすいですが、勾配を緩やかにするためには踏み面を広くして蹴り上げを低くする必要があります。
そのため、同じ階高でも階段の段数は増え、必要な面積も広くなるという注意点があります。また、階段の段数や面積が増える分、コストもかかってしまいます。
階段にコストや室内のスペースを大きく取られてしまうと、家造りのその他の部分にも影響が出るかもしれません。
階段を設置する際には安全性の確保に加えて、かかるコストや面積も考慮して寸法を決めましょう。
必要であれば傾斜を緩やかにする以外の安全対策を施す方法もありますよ。
階段の安全性を高めるには?
階段は住まいの中でも滑ったり落下したり、事故が起こりやすい場所です。ここでは階段の安全性を高めるための設備や方法をご紹介します。
手すりを設置する
階段に手すりを設置することは、転倒や転落を防ぐために有効です。
主に大人が利用する場合には高さ700cm〜800cm程度、子どもが利用する場合には600cm程度が一般的だとされています。しかし、手すりの寸法に決まりは無いので、使用する人に合わせた寸法で設置しましょう。大人用と子ども用、上下2段で設置することも可能です。
スペースの関係で片側に手すりを設置する場合には、階段を下りるときの利き手側に設置しますが、高齢者や小さいお子さんがいるご家庭では両側に設置することが望ましいです。
両側に手すりを設置することで、階段の安全性をさらに高められますよ。
滑り止めを取り付ける
滑り止めを取り付けることも、階段の安全対策として有効な方法のひとつです。階段の踏み面に溝をほって滑りにくくする方法の他、後から取り付けることもできますよ。
足元が滑ることによる事故を防止するために、ご家庭にあった滑り止めを取り入れてみましょう。
市販の滑り止めは、コーナータイプやテープタイプ、マットタイプなどの種類があり、比較的簡単に取り付けられます。デザインも豊富で階段の印象を損ねることなく取り入れられるのでおすすめです。
滑り止め自体につまずいて怪我をするということがないように、取り付けた時に段差の出ない薄型物を選ぶのもポイントです。
フットライトを設置する
階段の照度が低すぎたり、視力が衰えたりしていると段差の部分がはっきりと分からず足を踏み外す恐れがあります。
十分な照度を確保し、さらに足元を照らすフットライトを併用すれば安全対策に繋がり、事故の可能性を減らすことができますよ。
階段の推奨照度である50ルクス以上の明るさが確保できているかを確認し、不十分な場合には電球を取り替えましょう。
フットライトは人感センサーライトにすると、トイレなど夜中に階段を利用する場面でも安心です。デザイン性が高いものが多く、お洒落で安全性の高い階段にすることができます。
家づくりについて相談会で聞いてみよう
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まとめ
毎日上り下りする階段は、安全であることが第一条件ですよね。
階段は法律で最低限の寸法が決められていますが、実際に住む人が上り下りしやすい階段幅、踏み面、蹴り上げであることが重要です。
場合によっては間取りにも影響するため、階段の上り下りに不安がある場合は予め建築会社に伝えると良いでしょう。また、プランが出来たら現在の住まいや展示場と比較し、実際にどのくらいの寸法なのか測って確認してみると安心です。
建ててしまうとなかなか変更がきかない階段、十分に検討してみてくださいね。
私たちは設計士や施工管理士といった建築のプロでありながら、全社員が「信州コンシェルジュ」として豊かな信州ライフをサポートしていきます。
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