家の計画と共に欠かせないのが車の駐車計画です。駐車スペースもガレージやカーポート、枕木や土間など様々な計画が考えられますが、車をすっぽりと覆ってくれるガレージは車好きの方にもそうでない方にも魅力的ですよね。
具体的にどのように計画すれば良いのでしょうか。事例も一緒に見ていきましょう。
目次
ガレージハウスとは?
ガレージハウスとは、その名の通り、車を入れるガレージと家とが合体したものです。
スタンダードなのは、1階部分全体、あるいはその一部が駐車場や車庫となっており、その上、つまり2階以上の部分で家族が暮らすという設計です。
それ以外にも建物の1階部分の横にガレージを設けるタイプの設計もあります。
ガレージハウスを作る方の目的は様々です。車が好きで家の中からでも眺められる設計にしたかったという方もいれば、外観を格好よくしたい、という理由の方、駐車場が場所を取るため、土地代を少しでも浮かせたり土地面積に制約があるために1階をガレージとするガレージハウスを選択したという方もいます。
以降では、ガレージハウスのメリットやデメリット、注意点などについてご紹介していきます。
ガレージハウスのメリットとは?
ガレージハウスのメリットのひとつとして、省スペースで駐車場と建物が建つので、土地代の面ではお財布に優しいことがあげられます。先ほども少し触れましたが、駐車場スペース分の土地が必要ないからです。つまり、狭小地でもガレージハウスは建てられるということになります。
また、ガレージからそのまま家の中に入れるため、大雨の日などでも濡れずに玄関に入ることができるのはメリットです。子どもを連れて、買い物の荷物を持って、傘をさしながら駐車場から家まで歩くのが大変と感じている方にはおすすめです。
シャッターを付けることもできるため、セキュリティ対策を講じることも可能です。
ガレージハウスのデメリット・注意点とは?
ガレージハウスには、注意すべきデメリットもいくつかあります。
まず、居住スペースが狭くなる可能性には注意しておきましょう。
1階部分をガレージにすると、家族は大部分を2階で過ごすことになります。たとえ1階部分にガレージ以外の部屋を作ったとしても、家族が団らんできるほどのスペースを取ることは難しいかもしれません。
しかしこれは建物全体の面積が30坪、40坪、60坪など、坪数によって変わります。
坪数や予算に応じた設計ができるのでハウスメーカーや工務店に相談してみましょう。
また、そうした設計によっては階段の上り下りの機会が多くなる可能性もあります。年配の方がいるご家族などはその点も考慮した設計が望ましいでしょう。
さらにガレージには照明設備や換気設備への配慮も必要になってきます。
仕事から帰宅すると暗いという方も多いでしょうから、明かりは必須と言えるでしょう。
1階がガレージで2階以上が居住空間の場合、車が居住空間のすぐ下に停まるということから遮音性にも注意をしたいところです。例えば夜遅く帰る人がいたとして、2階に寝室があるとうるさく感じてしまうこともあります。
また、ガレージからの侵入者が出ないよう、セキュリティにも気を配る必要があります。
狭小住宅のガレージハウスは耐震性を要チェック!
特に狭小住宅のガレージハウスを作る際には、耐震性をチェックしなければなりません。
ガレージハウスは1階部分に車を入れるためのスペースを大きく取るため、耐震性については心配している方も多いのではないでしょうか。ガレージに出入りするための大開口や駐車ができる程の大空間を作るのであれば、十分な耐震性が保てるのかハウスメーカーや工務店に聞いておきましょう。
ハウスメーカーや工務店がガレージハウスの商品を出している場合には、その耐震性がどの程度なのか確認してみると良いでしょう。
ガレージハウスのレイアウトを決める際のポイントとは?
ガレージハウスのレイアウトを決める際のポイントとして、ひとつは家のどこから車を観たいのかを考えることが挙げられます。
家の中から愛車を見る場合、リビングのソファに座ったときに見える位置が良いのか、それとも晩酌をするキッチンカウンターから見えた方が良いのか、はたまた書斎のような個室から見たいのか…人によって意見はさまざまです。どこから愛車を眺めたいか決めることで、ガレージの位置や眺めるための窓の設置位置が決まります。
車も、正面を見たいのか、それともサイド部分が見たいのかによって停め方やガレージの建て方もかわるでしょう。
まずはガレージハウスでの楽しみ方の理想を追求してみましょう。
また、ガレージハウスは外観のまとめ方も重要です。せっかくガレージハウスを建てるならカッコいい外観を目指したいですよね。バランスの良い外観を目指し、設計をしていきましょう。
狭いガレージハウスを快適にするポイントとは?
狭小地で有利になるガレージハウス。土地の面積や予算の関係でコンパクトな家になることも十分考えられます。そうした制約がある中でもより快適に過ごすためのポイントを押さえておきましょう。
少しの工夫で広々と感じられるので、以下のコツを覚えておいてくださいね。
スキップフロアを有効活用する
皆さんは、スキップフロアという言葉をご存じですか?
スキップフロアとは、段差を付けることで部屋数を多く見せたり、縦方向の空間を有効利用し空間を広く見せる方法です。
普通、部屋は壁やドアなどの仕切りによってできますが、仕切りがないスキップフロアなら縦方向にも広さを感じられやすいです。段差で空間を程よく区切る方法が斬新で、一時期流行りました。狭小住宅でも広く感じられる工夫の1つと言えるでしょう。
狭く奥行きの長い狭小住宅を目指す
狭いながらも、奥行きの長い狭小住宅なら視覚的に広さを感じやすくなります。奥行きがあると、動線が一直線に近くなり動きやすいという意見もあります。
また、ここにスキップフロアのように高さを活かした空間利用をすればより多くのスペースが確保できますし、階段下収納など、デッドスペースを上手く活用することで広々とした居住空間が確保できます。天井高を高くしたり、吹き抜けにすることで圧迫感のない室内にする方法も考えてみると良いでしょう。
ガレージハウスの事例を紹介
大屋根の吹き下ろし部分をガレージとした事例
こちらは大屋根の吹き下ろした先に1台分のガレージを設けた事例です。とても自然なガレージハウスですよね。
通常1台はガレージ内に停めていますが、車がない時はガレージ下で薪割り作業をしたり、BBQをしたり…と様々なことを楽しんでいます。ガレージは存分に有効活用できるので、車を停めるだけのスペースとしてはもったいないですね。
シャッター付きガレージハウスの事例
シャッター付きガレージに愛車を停めています。
ガレージには、ご主人様の書斎からアクセスでき、書斎からいつでも愛車を眺めることができるつくりになっています。
また、愛車のお手入れグッズなど好きなものを並べることで、まさに「自分だけの」趣味空間となっています。
また、シャッター付きの駐車部分の前方には2台分の屋根のみのガレージスペースも。出入りの多い車や来客の車はこちらに停めることができるのも便利ですね。
夜の外観が印象的、照明計画にもこだわったガレージハウスの事例
片流れ屋根が吹き下ろす先に1台分のガレージを設けました。住居部分と一体のガレージなのでとても自然な印象の外観です。
ガレージの照明にはダウンライトを計画。2灯の灯りがやさしく車を照らします。玄関ポーチのダウンライトと合わせてコーディネートしたので、夜の外観の雰囲気も抜群です。
このような印象的なガレージハウスであれば、毎日仕事終わりの帰宅が楽しみになりそうですね。
和モダンなデザインのガレージハウス
住居部分のメインの屋根は大屋根、ガレージ部分と土間サロンをつなぐかたちで下屋をかけた、和モダンなデザインのガレージハウスです。
ガレージは1台分の駐車スペースですが、その他にもアウトドア用品などを収納しています。屋根下でありながら外なので、汚れも気にならず、かつ風雨から守ることもできる点が使いやすいですね。
平屋のガレージハウス
こちらは平屋のガレージハウスです。2台分の駐車スペースを計画しました。
家の中から車を眺めることはできませんが、車を停めた後にすぐに玄関ポーチへアクセスできるので大変便利です。雨の日でも濡れる心配もありません。
ガレージ部分の天井は、外壁の色味に合わせてグレーのケイカル板仕上げとしました。住居部分との統一感のあるコーディネートでありながら、ガレージ部分が平屋外観のアクセントになっています。
平屋のガレージハウスのポイントは?
ここからは、平屋のガレージハウスのポイントをご紹介していきます。ガレージハウスというと、1階部分に車を停めて、2階部分で家族が過ごすというイメージが強いと思います。
しかし、平屋のガレージハウスも人気です。その分の土地面積が必要であったり、基礎や屋根材の費用がプラスで発生することもありますが、2階以上の部屋がないため耐震性に関して心配がなく、作り方によってはガレージ内の愛車をどこからでも眺められる設計が作れます。
メリットとデメリット・注意点
平屋のガレージハウスにも、メリットとデメリットがあります。
メリットは、ガレージからの動線が上手くいけば、車から降りてすぐに家の中に入れることです。1階がガレージで居住空間が2階の場合はどうしても階段の上り下りが必要になりますが、平屋の場合はそもそも階段がないのでそうした負担を無くすことができます。
デメリットは、ある程度の土地面積は必要になる点です。広い土地が必要ということは、土地購入の場合その分の費用も発生するということ。土地が広くて予算もあるのなら検討できますが、ガレージに予算を充てることを考えるとその他の家の要素を追加しにくくなってしまいます。
また、お子さんがいるなら家に置いておきたい車の数も今後増える可能性があるので、ある程度限られた土地の場合は将来性を考えた設計が難しい点に注意です。
最適な広さ
平屋でのガレージハウスの最適な広さは、ガレージスペースとしては車1台分で間口3m~3.5m、奥行き5.5m程度(約4~5坪)が必要になります。 また、車2台分では約8~10坪必要です。
これはあくまでガレージスペースのみの話ですから、家族全員が暮らす部分についても加味するならやはり土地はそこそこの広さが必要です。
夫婦二人暮らしである場合と、夫婦に加え子どもが2人いる場合では坪数も大きく変わってきます。一般的には、夫婦2人のコンパクトな平屋と言っても25坪程度は必要なことが多いです。4人住まいだと30坪前後が必要な場合が多いでしょう。その広さにガレージスペースを追加したものが、最低限必要な広さになります。
ガレージハウスをもっと楽しむおすすめの活用方法とは?
せっかくガレージハウスを作るのであれば、さらに楽しむ方法を考えてみましょう。
例えば、ガレージ部分から車を出した後、屋根のある屋外で家族や友人とのホームパーティを行うこともできます。春から秋にかけてわいわい楽しむのがおすすめです。さらに屋根があることで雨の日のDIY作業や自転車整備なども実現できます。ガレージがあると様々な使い方ができて暮らしの幅が広がりそうですね。
また、アウトドア用品の収納場所としてガレージを活用することもできます。子どもが使ったサッカーボールや野球のグローブ、趣味のサーフィンのサーフボードやガーデニング用品などなど、外で使うものは家の中に入れると室内が汚れてしまって掃除の手間が増えます。そういう場合は室内の収納場所ではなく、ガレージの一角にしまうようにすると良いでしょう。汚れも気にせず、さらに車への積み下ろしもラクになります。ガレージに収納箇所を作るなら、アウトドア用品が盗まれないようにシャッターなどを付けることをおすすめします。
あとは、やはりガレージハウスと言えば車を室内から眺められる設計ができますから、車好きの方は窓の位置にこだわると楽しいでしょう。愛車をあらゆる角度から眺められるようにできたら、まさに夢のマイホームが現実になります。
ガレージハウスは一人暮らしにも向いてる?
実は、ガレージハウスは一人暮らしにも向いています。車が好きな人にとって、ガレージハウスは住居でありながら趣味を満喫する空間になります。また、一人暮らしの場合は1LDKなどコンパクトな間取りでも良い場合があるので、予算をガレージの方に回せます。一人暮らしであれば住居スペースは狭くても問題ないため、思い切り車と近い生活ができるでしょう。
まとめ
便利でもあり、車好きにはたまらないガレージハウスは、どこから愛車を眺めたいかを考えると間取りが自然と決まってきます。ただし、ガレージハウスを検討するなら考慮したい点もいくつかあります。プロの意見も取り入れながら理想を追求していきましょう。
私たちは設計士や施工管理士といった建築のプロでありながら、全社員が「信州コンシェルジュ」として豊かな信州ライフをサポートしていきます。
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