土間というとどんなイメージをお持ちでしょうか?昔ながらの日本家屋にある玄関をイメージする方もいらっしゃるでしょう。
しかしここ数年、土間をリビングとする家が注目されています。土間リビングとはどんなものなのか、メリットデメリットも合わせてご紹介します。事例も多く取り上げますのでぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
- そもそも土間リビングとは?
- 土間リビングのメリット・魅力
- 土間リビングのデメリット・注意点
- 土間リビングを活かした施工事例10選
- 失敗しないために!土間リビングを作る際のポイントと注意点
- 家づくりについて相談会で聞いてみよう
- まとめ
そもそも土間リビングとは?
現代の戸建てで見られる一般的なリビングは、床に木材などが用いられており、靴を脱いで過ごします。土間リビングはこれとはつくりが異なっており、リビングの中に木材などでつくられた床と、タイルやコンクリート、モルタルなどでつくられた土間が用意されています。新しくておしゃれな空間のようで、どこか懐かしい日本家屋を感じさせるつくりです。
土間リビングのメリット・魅力
庭への導線が短くなる
土間リビングからそのままお庭に出られるのも、メリットだと言えるでしょう。ドアや全開できる大きな窓を設置すれば、出入りが簡単になります。一般的なリビングの場合は、外に出る際は靴を履いて玄関から出ることになりますが、土間リビングであればリビングからも出入りできるのでお庭への導線が短くなります。
開放的な空間ができる
間取りによっても異なりますが、土間部分を広くつくることで、より開放的な空間にすることができます。フローリング部分と土間部分との間に壁がないため、広々感じられるのも魅力です。
また、広めの玄関のような使い方をすることも可能です。大きな窓を設置することで、光がたくさん差し込む風通しの良い空間にできるので、外で過ごしているような心地よい気持ちになれることでしょう。おしゃれな和モダンの空間にできます。
多目的スペースとして使える
土間リビングであれば、自転車やバイクなどを置くスペースとして使うこともできます。
また、テーブルや椅子などを置いてくつろぐことができるほか、トレーニングやガーデニングなどを楽しむ趣味の場所にすることも可能です。暖炉や薪ストーブなどの暖房設備を取り入れるのも良いでしょう。ペットがいる方は遊び場にもできます。サンルームとして使うのもおすすめです。
傷がつきにくく汚れにくい
フローリングは、長く暮らしているうちに傷が目立ってくることもあります。その点土間であれば、丈夫であるため傷の心配がほとんどありません。また、汚れてしまっても比較的簡単に取り除くことができます。大きな家具類を置いても、へこみや傷ができにくいのも良いところです。
夏場は涼しい
床部分をコンクリートやタイルにすると、室内が涼しく感じられるのも魅力です。土間部分を広くすればするほど、涼しさが実感できることでしょう。夏のエアコンの節約にもつながります。ペットも快適な空間で過ごせることでしょう。ワンちゃんや猫ちゃんを飼っている方も前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
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土間リビングのデメリット・注意点
段差ができてしまう
リビング全体をフローリングにすれば、段差の心配がありません。しかしながら、土間リビングの場合は、土間部分をフローリング部分よりも低くつくる必要があるため、どうしても段差ができてしまいます。これは、フローリング部分に、土間部分に付着するほこりや泥などが入り込むのを防ぐためです。
冬場が冷えやすく寒い
夏場は涼しく感じられる反面、冬は冷えやすい特徴があります。これは、通常の床部分よりも断熱性が低い土間部分から冷たい空気が伝わってくることが理由です。そのため、足元が寒いと感じる方も多いようです。
また、冷えてしまうと温まるまでに熱をたくさん必要とするので、リビング全体が寒く感じられやすいといったデメリットもあります。そのため、土間部分にもきちんと断熱材を入れるなどの工夫が必要です。
ホコリがたまりやすい
外から靴を履いたまま中に入るため、ホコリや汚れが溜まりやすい傾向があります。大きな窓の開閉によりホコリが風によって端の方に溜まりやすいので、こまめな掃除が必要になります。できるだけ掃除を楽にするために、外から中に入る際は靴などに付着した汚れを落としてから入るようにしましょう。
部屋の行き来が面倒な場合もある
靴を脱いだり履いたりする頻度が高くなるため、面倒に思う方もいるようです。土間リビングからトイレやキッチンに移動する際も靴を脱ぐことになるので、それをストレスに感じる場合もあります。土間リビングにする方は、間取りや導線を慎重に考えて検討することが必要です。
土間リビングを活かした施工事例10選
事例1 アウトドア用品を眺めながらくつろぐ土間リビング
リビング横に、リビングと同じだけの広さをとった土間。スキー、山登り、ツーリングと週末ごとにアウトドアを楽しむご夫婦にとって土間リビングは欠かせません。趣味のアウトドア用品はただ収納するだけでなく、あえて見せることで統一感のあるインテリアアイテムにもなります。予め棚を設けておくと床に物を置く必要がなくすっきりと収まります。土間であればメンテナンスをする際も汚れを気にすることなく、また天候に関係なく作業することが出来ますね。
机と椅子を置いてコーヒーを飲むもよし、薪ストーブを眺めながらぼーっとするもよし、広々とした土間はいく様にも使うことが出来そうですね。
事例2 二世帯を緩やかに繋ぐくつろぎの土間リビング
二世帯住宅では世帯間の距離感が大切ですよね。こちらは両世帯の中間に配置することで緩やかな繋がりを実現しています。正面奥が子世帯、左側に親世帯が繋がります。
土間は大きめのタイル張りとし、清潔感が感じられるデザインとなっています。日がよく入る土間は冬でもぽかぽかと温かく観葉植物を育てる空間としてもぴったり。心地よいソファに座って庭で遊ぶ子ども達を見守るのも楽しい時間になりそうです。
事例3 食事が楽しい土間ダイニング
思い切ってダイニングテーブルを土間に置いた例です。フルオープンサッシを開け放って景色を楽しみながら、また温かな薪ストーブの火を見ながら、開放的な土間での食事は格別ですね。
三方向から火を見ることが出来る薪ストーブにブラックのペンダントライト、床のタイルなど、土間と言ってもスタイリッシュな空間に仕上がっています。
土間とフラットに繋がる広々としたウッドデッキも中と外を繋ぐ空間としてバーベキューやおうちキャンプなど幅広く活用できそうです。
事例4 子どもの遊び場、土間リビング
子どもが小さい間はいっそのことラグを敷いてキッズスペースにするのも楽しいかもしれません。リビングから一段下がった空間は子どもだけの特別なスペースに。おもちゃがリビング全体に広がりにくく、遊んでいて落ちる心配もありません。目隠しの格子付きのウッドデッキとフラットで繋がり、中と外の堺目なく広々と遊ぶことが出来ますね。
また土間に設置した薪ストーブは薪の出し入れや掃除がしやすく便利です。冷え勝ちな冬も薪ストーブのおかげで温かですね。
事例5 ペットと楽しむ土間リビング
リビングの一角に土間を設けています。段差はごく小さくし、リビングとの一体感を持たせつつも埃や砂汚れが入りにくい高さです。わんちゃんも家族と分け隔てのない空間で過ごすことが出来、寂しくないですね。
温かで、多少の汚れは気にならず、外にも出やすい土間はペットの専用スペースとしても人気があります。ウッドデッキとも繋がり開放感がありますね。
洗い出し仕上げの土間はナチュラルな室内空間にもマッチします。
事例6 キャンプギアの収納を兼ねた土間
無骨なコンクリートの土間にキャンプギアの収納棚をたっぷりととりました。かさばるキャンプギアは予め収納する場所を考えておく必要があります。また汚れがついたものも、土間であれば気兼ねなく収納したりメンテナンスしたり出来ますね。
チェアは収納せずあえて出しておけば普段使いすることが出来ます。中と外を繋ぐ中間の空間だからこそ、用途を限らずにタフに使うことが出来ますね。
事例7 田園風景を眺める大開口の土間リビング
広々としたタイルの土間に座ると、規格外の大きな窓から田園風景が目に飛び込んできます。二方面に開かれた土間は窓を開け放てば半分外のような空間になりますね。お気に入りのキャンプ用チェアとテーブルを運び出すのも楽々。外を楽しむ時間が日常になりそうです。
土間に洗面を設置することで洗面所やキッチンまで行くことなく手を洗ったり水を調達したりすることが出来るため、ガーデニングやバーベキューなど外の趣味を満喫しやすくなります。
事例8 ハンモックに揺られるくつろぎの土間リビング
ぽかぽかの薪ストーブの横でハンモックに揺られるくつろぎの土間。とても心地よさそうですね。
リビングから土間、土間からウッドデッキへとオープンな繋がりで、空間を広々と活用することが出来ます。視線も外に抜けるため実際の面積以上に広がりを感じることが出来そうです。
床と炉壁は部屋のテイストに合わせてシックなブラックのタイル張りとしています。
事例9 玄関でありリビングでもある通り土間
広々ととった玄関土間。ここで靴を脱ぎ、リビングに入ります。リビングと土間は障子で仕切ることが出来るため、冬場の夜間など冷えが気になる時も心配いりません。南側の掃き出し窓からはそのまま庭に出ることが出来、通り土間としても活用出来ます。
外が一面の雪景色でも、陽の当たる土間はぽかぽか。小ぶりの机と椅子、テレビを設置すれば第二のリビングとして快適な団らんの空間に。玄関から靴を脱がずに座ることが出来るため来客時や庭仕事の休憩にももってこいですね。
事例10 畳でくつろぐ第二のリビング
土間の一角に畳スペースを設けた土間。家の南側に設けた土間は洗い出し仕上げの床に四人掛けの机と椅子を置いてもゆとりのある広さです。冬の日中は特に陽が入って温かいため、柔らかな畳スペースでごろ寝をするもよし、気分を変えて食事をするもよし、来客時におもてなしの空間としても活用出来ますね。夏場も四方に設けた窓から風がよく通り気持ち良く過ごせます。縁側や畳スペース、床柱を設けた和テイストの仕上がりも素敵ですね。
失敗しないために!土間リビングを作る際のポイントと注意点
土間リビングには、他にはないさまざまな特徴があります。イメージに合った素敵な空間にするためのポイントについてご紹介します。
床材は特徴を把握して選ぶ
土間リビングに用いられる床材は一つだけではありません。いくつかご紹介しますので、それぞれの特徴を理解したうえで、後悔しない土間リビングをつくりましょう。
コンクリート
コンクリートの特徴は、仕上がりがシンプルであり洗練された雰囲気になることです。また、丈夫でお手入れがしやすいといったメリットもあります。モルタルは、表面がつるりとなめらかに仕上がるのが特徴です。どちらも費用を抑えて施工できるため、検討しやすいことでしょう。ただし、長く使用している間に小さなひび割れが生じることもあり、これを風合いがあると前向きに感じる方と抵抗を感じる方がいます。抵抗がある方は、別の床材をおすすめします。
タイル
タイルは、特に人気が高い床材です。理由は、豊富な種類があり、リビングのテイストや希望に合わせて選べることです。カラー、サイズ、貼り方など、イメージに合わせたオーダーが可能です。また、和室でも洋室でも取り入れやすく、選んだタイルで雰囲気も大きく変わるため楽しく選べるのも良いところでしょう。ただし、コンクリートよりも費用が高くなるのがデメリットです。また、コンクリートとは異なり目地があるため、そこに汚れが溜まりやすい傾向があります。年月がたつと目地の打替えも必要になる場合がありますが、タイルそのものは丈夫なので、メンテナンスにかかる費用はそれほど高額ではありません。
天然石
高級感がある空間にしたい方は、天然石を検討してみても良いでしょう。一気にリビングが豪華な印象になります。天然石は耐久性があるほか、滑り止めを用いることで滑る心配もなく安心して暮らすことができます。デメリットは、費用が高額になることと、素材によっては掃除する際の洗剤使用に注意しなければならない点です。
真砂土
真砂土は、月日が経ち分解された花崗岩です。ほっこりさせる自然な風合いがあります。リビング全体を、ナチュラルな雰囲気にしたい方はご検討ください。
洗い出し
工房信州の家では「洗い出し」仕様も選択できます。洗い出しとはコンクリートに種石を混ぜ、土間に塗りつけた後に表面を刷毛などを使って水で洗い出し石の頭だけが見えるよう仕上げたものです。表面に小さな石が出るため滑りにくくなります。コンクリートよりも表情が豊かで和風からナチュラルやモダンなテイストまで幅広く合います。
床の仕上げ方によっても印象が変わる
土間部分にコンクリートを使用する場合、仕上げ方によって雰囲気が異なります。リビング全体の印象も変わってくるので、それぞれの特徴を比較しながらイメージに合った方法を選んでみてください。
「洗い出し仕上げ」とは、打設後、コンクリートが硬くなる前に洗い出すことで、骨材の頭の部分だけが表れる仕上げ方法です。見た目がきれいであるほか、滑りにくいといったメリットもあります。
「刷毛引き仕上げ」は、表面に刷毛などでなでる方法です。土間に取り入れられることが多く、表面がザラザラした状態になります。こちらも滑りにくい特徴があります。
「金ゴテ仕上げ」とは、金ゴテを使用して表面をつるつるした状態にします。きれいな見た目と掃除のしやすさが魅力ですが、雨の日は滑りやすい傾向があります。
寒さ対策をしておく
夏は涼しくて良いのですが、冬は冷えを感じやすいので、寒さ対策をしておくことをおすすめします。土間部分のサッシを二重窓にするのも良いでしょう。断熱材施工の検討もきちんとしておくようにしましょう。
また、ヒーターや薪ストーブで温めることもできますが、床暖房もおすすめです。床暖房は、あらかじめ土間の下に配管を通して、温かいお湯を循環させて床を温める方法です。
土間部分が広い場合は、寒さが厳しい期間だけ建具やカーテンなどを使用するのも良いでしょう。建具等で仕切り、土間部分とフローリング部分を分けた使い方をしてみてはいかがでしょうか。
段差はつけすぎないようにする
土間部分とフローリング部分との間に、大きな段差をつけてしまうと、場合によってはつまずいてしまう可能性があります。とくに、小さなお子さんやご高齢の方がいる方は、安全のためにも段差は低めにすることをおすすめします。また、必要に応じて簡単な工事でバリアフリーにできるように設計しておくと、将来も安心です。
シンクを設けるのもおすすめ
土間リビングを検討される方のなかには、土間部分で趣味を楽しんだりお子さんを遊ばせたりしたい方も多いかもしれません。また、ガーデニングやバイク、バーベキューなどを考えている方もいるでしょう。あらかじめシンクを設置していると、何かと便利です。ワンちゃんのお散歩後に、足を洗ってあげることもできます。
家づくりについて相談会で聞いてみよう
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まとめ
ここでは土間リビングについてご紹介しました。事例も多数取り上げましたが、ご自身に合った活用法は見つかりましたでしょうか。
土間をリビングに設けることで様々な使い方が出来、生活の幅が広がりそうですね。ただのリビングでは実現出来ない面白みや利便性があるのではないでしょうか。床の素材や段差の高さ、設ける位置によっても用途や雰囲気が異なります。どんな楽しみ方がしたいか、おうち時間が増えている昨今、ぜひ土間リビングを検討してみてくださいね。
私たちは設計士や施工管理士といった建築のプロでありながら、全社員が「信州コンシェルジュ」として豊かな信州ライフをサポートしていきます。
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