朝晩の冷え込みがゆるやかになり、信州にもようやく春の訪れを感じられるようになってきました。
しかしオーナー様からは「冬が終わってしまうのが名残惜しい‥」なんて声も聞かれます。
冬の信州ライフを楽しむ要素のひとつが 薪ストーブ。
工房信州の家ではオーナー様の3組中2組が薪ストーブユーザーという占有率の高さ!薪ストーブの人気が分かります。
(市街地や住宅街にお住まいの方は薪ストーブの割合は少なめですが)
体の芯からあたたまる輻射熱の効果、環境にやさしいバイオマスエネルギー、心安らぐ炎のゆらめき‥など、その魅力を語り始めたらキリがありません。
しかし今回はあえて、薪ストーブの デザイン性 にスポットを当てたいと思います!
ひとくちに薪ストーブと言っても、伝統を受け継ぐクラシックタイプから北欧モダンなデザイナーズストーブまで、嗜好の異なるたくさんの種類があります。
さらに炉台など、周囲のしつらえによっても大きく雰囲気が変わります。
オフシーズンも家族が集まるメインスペースに常に存在しているので、インテリアデザインにも大きく関わってきます。
長野県内各地にある「工房信州の家」展示場の実例から、薪ストーブコレクションを一挙にご紹介します!
INDEX
1. フェデラルコンベクション × 十和田石(長野中央展示場)
2. ワムCLASSIC4 × 織部焼タイル(長野古牧展示場)
3. アイアンドッグNº04 × 大谷石(長野若里モデルハウス)
8.フェデラルコンベクション × テラコッタタイル(旧諏訪展示場)
10. ドロレデコ × 置き型鉄板(SEASON南原モデルハウス)
11.エレメンツ603トンネル×スチールプレート(小布施モデルハウス)
薪ストーブとは?導入のメリットとは?
薪ストーブは鋳鉄や銅板で造られたストーブの中で薪を燃焼させて暖を取る暖房器具です。
煙突が付属し、燃焼中に出る煙を屋外へ排出します。屋根から伸びる煙突が印象的ですよね。ここでは薪ストーブを導入するメリットをご紹介します。
家全体が暖まる
薪ストーブは家庭で使われる各種暖房器具の中でも熱量が最大です。
家の規模や間取りにもよりますが、単世帯の家であれば薪ストーブ一台で家全体が暖まることが多いため、部屋ごとに暖房を置く必要がありません。
薪ストーブは輻射熱で物を暖める性質があります。周囲の壁や床、家具はもちろん、体にも、薪ストーブが放つ強力な赤外線が伝わりじんわりと芯から温まります。風が出ないため、過度の乾燥や風が当たることでの体への負担がありません。心地の良い暖かさがあります。
また薪ストーブ本体に蓄熱効果があり、火が消えても温かさが持続するため効率よく燃料を使うことができます。
デザイン性が高くインテリアになる
この記事のメインテーマでもありますが、薪ストーブは他の機械的な暖房器具とは一線を画し、デザイン性が高く家具として部屋のインテリアの一つになります。
クラッシックなものからスタイリッシュ、ラスティックなものまで、世界各国の薪ストーブメーカーがカラーや形が異なる薪ストーブを作っているため部屋の雰囲気に合わせて選ぶことができます。
さらに低温炭化を防ぐために必要な炉台や炉壁もタイルやレンガ、鉄板などを組み合わせることができるため無数のデザインを考えることができます。
以下に紹介する展示場の薪ストーブも全てデザインが異なります。素材により大きく変わる雰囲気に注目です。
癒し効果のある炎を眺められる
火を見ていると揺らめきが見て取れますよね。不規則に見えますが実は規則性があり、そのリズムを1/f揺らぎと言います。
自然界にあるものが必ず持つと言われる揺らぎ。人はその揺らぎを見ていると不思議と落ち着くそうです。
薪ストーブは炎が綺麗に見えるようガラス面がついています。
忙しい毎日、リビングでくつろぎながら、お酒を嗜みながら、読書の傍らで、なんとなく炎を眺めて過ごす時間が癒しとなります。
調理器具にもなる
薪ストーブの特徴的なメリットの一つとして、暖房機能のほかに調理器具にもなる点が挙げられます。家を温めながら料理ができるため一石二鳥で、省エネにも繋がりますよ。
薪ストーブの天板にお鍋を置いて煮込み料理をしたり、庫内をオーブンとして使うこともできます。ピザや煮込みハンバーグ、ダッチオーブンを使った本格ローストチキンなど幅広い料理が可能です。
焼き芋や焼きリンゴなど手軽にできるメニューも豊富なので、お子様やご友人と一緒に楽しんでみてもいいですね。調理機能に特化した薪ストーブもありますので、ライフスタイルに合わせて選んでみてください。
災害時に活躍する
薪ストーブは電気を使用しない暖房器具です。
地震や台風など自然災害により停電が起きると多くの家電が使えなくなってしまう中、暖をとり、調理ができる器具があることはとても心強いですよね。
1. フェデラルコンベクション × 十和田石(長野中央展示場)
薪ストーブ発祥の地・アメリカ北部のダッチウエスト社を代表するロングセラーモデル「フェデラルコンベクションヒーター」。
世界ではじめて薪ストーブに触媒を採用し、その優れた熱効率と燃費の良さで、1980年の発売当初から人気があります。自動車の排出ガスをクリーンにする機能で知られる触媒装置(キャタリティックコンバスター)を薪ストーブに応用した技術です。
フェデラルコンベクションの表面は小石で打ったように波打った仕上げで、この凸凹が蓄熱・放熱面積を広げるという機能的な意味合いもありますが、目にも上質なテクスチャでデザイン性も高くなっています。
このクラシックモデルの薪ストーブに、長野中央展示場では十和田石の炉台を組み合わせています。
十和田石とは、秋田県で採取される天然石で、海底噴火による火山灰が凝固してできた緑色凝灰岩です。
石に含まれる鉄や金属が酸化せずに火山灰に閉じ込められており、その色合いは淡いグリーンにもブルーのようにも見えます。
リビングの中央にあっても品よくまとまり、シーズンオフでも爽やかに過ごせそうですね。
障子や和紙といった和のテクスチャにも違和感なく馴染み、シンプルな和モダンの住宅にふさわしいインテリアになっています。
2. ワムCLASSIC4 × 織部焼タイル(長野古牧展示場)
デザイナーズストーブHWAM(ワム)のクッキングストーブ「Classic4(クラシック4)」は、創業当時から変わらないクラシカルで洗練されたプロポーション。
長野古牧展示場では本体だけを据えていますが、オプションのオーブンセクションを本体上に組み合わせることで、石窯のように本格的な調理器具としても活躍します。
室内を暖めながら同時にオーブン料理が楽しめ、アツアツをその場でいただけるなんて、想像するだけでも贅沢ですね!
ストーブ背後には織部焼のタイルを壁一面に配しており、単なる炉壁としての機能にとどまらず、アクセントウォールとしてもインテリアデザインに一役かっています。
織部焼は、岐阜県を起源とする美濃焼の陶器の一種で、整然とした端正な形と天然石のようなテクスチャが北欧家具にもよく似合います。
▼ 長野古牧展示場は、ルームツアー動画もご覧ください!
3. アイアンドッグNº04 × 大谷石(長野若里モデルハウス)
こちらは「IRONDOG(アイアンドッグ)」という名の薪ストーブ。
眺めていると、地面にしっかりと踏ん張る四肢が頼れる大型犬のように見えてきませんか‥そんな愛らしいフォルムの逸品です。
製造元のブルナー社は本体からボルト一本にいたるまですべて自社製で、ヨーロッパでも指折りの高品質な鋳鉄を製造する工場として知られています。
100%ドイツ製の強度と信頼は、まさに忠犬と呼ぶのにふさわしい、生涯の相棒になってくれそうです。
長野若里モデルハウスでは、薪ストーブを大谷石の土間サロンに置いています。
土間サロンなら薪の出し入れやお掃除も手軽で、気兼ねせずに薪ストーブライフを楽しめるおすすめの空間設計です。
大谷石は栃木県で採掘される軽石凝灰岩で、やわらかで加工しやすく耐火性にも優れた石質をそなえており、その上品な質感から帝国ホテルにも採用されている建材です。
質感高い空間でありながら、大きな土間サロンとウッドデッキで自由度高く活用できるタフな薪ストーブスタイルです。
▼ 長野若里モデルハウスは、ルームツアー動画もご覧ください!
4. ワム3110c × 珪藻土壁(上田展示場)
上田展示場には、薪ストーブの炎を楽しむための空間「火のサロン」があり、リビングとはひと味違う意匠を凝らしています。
まず薪ストーブは、北欧デンマークデザインのHWAM(ワム)3110c。
家具デザイナー出身の建築家Anders C.Fasterholdtが「暖かさを発する家具としての薪ストーブ」をモットーに掲げたとおり、そのスマートな佇まいは家具の一部として自然に溶け込みます。
薪ストーブ自体の美しさを引き立てるため、背面はホワイトの珪藻土仕上げですっきりとまとめました。
炎が美しく映える曲面ガラスは、正面からだけではなく多方向から優雅な炎美を楽しむことができます。
つくりつけベンチに深く腰掛け、炎のゆらめきを心ゆくまで堪能できる火のサロンは、ご家族のくつろぎの時間はもちろんゲストをもてなす場としても相応しい品格を備えています。
5.ワム4640×織部焼タイル(松本展示場)
こちらは上記上田展示場と同じHWAM(ワム)の一回り大きいパワフルな薪ストーブです。癖のないスマートな形状はどんなテイストの空間にもしっくりと馴染みます。
炉壁には職人さんが一枚一枚手仕事で仕上げる表情豊かな織部焼タイルを貼り合わせました。
サイズの異なるタイルをランダムに張ることで作り込みすぎないラフな印象を残します。天井まで一面に貼ったブラックのタイルはアクセントウォールとして空間を引き締め、粗削りな質感がどこか逞しさを感じさせます。
炉台は主張しすぎないダークグレーの天然石で、空間を調和させる役割を。家具や小物にもダークカラーを取り入れ、マニッシュなインテリアに仕上げました。
6. セコイア × 鉄板(旧松本展示場)
フェデラルコンベクションとおなじダッチウェスト社の「セコイア」。
触媒(キャタリティックコンバスター)を採用した燃焼システムはそのままに、シンプルなラインを基調としたデザインと凹凸のない滑らかな表面仕上げがお洒落です。
そして炉台は、漆黒の鉄板製!
マットな質感の薪ストーブと馴染んで、スクエアのガラス面にゆらめく炎の美しさを一層引き立てます。
松本展示場は、板張りや太鼓梁など木部の印象が強い建築ですが、その中心で空間を引き締めてくれる、格好良い大人にぴったりのデザインです。
7.ワム3630×スチール遮熱壁(諏訪展示場)
すっきりとしたデザインがモダンなテイストに調和するHWAM(ワム)の円筒状ストーブ。
フロントの湾曲した大きなガラス面と両サイドのスリット窓、三方から揺らめく炎を楽しむことができる設計です。
搭載された最新鋭技術により、スマートフォンから専用アプリで室内温度を設定すると自動で最適量の給気を行い、無駄なく薪を燃焼します。薪を入れるタイミングも知らせてくれる優れもの。形状にとどまらず環境にも人にも優しいデザインがされています。
諏訪展示場の薪ストーブを置いた土間サロンの一角。ここを「薪ストーブピット」と名付けました。
薪ストーブを抱き込むように立っているスチールの遮熱壁と、ストーブ形状に沿うようにカーブさせたベンチになる板張りの床。曲線が柔らかな印象の特等席です。
遮熱壁にはステンレス風の塗装をすることで、テイストを邪魔しないモダンで軽やかな空間に仕上がっています。
8. フェデラルコンベクション × テラコッタタイル(旧諏訪展示場)
玄関から南北へ抜ける通り土間サロンに、薪ストーブの王道・フェデラルコンベクションヒーターを据えました。
この展示場は東西に親世帯・子世帯を分けた、分離型の二世帯住宅。その中心で両世帯をつなぐ空間として、通り土間サロンを設けました。
家族が集うだんらんの場には、薪ストーブのぬくもりと、テラコッタタイルのやさしい質感がよく似合います。
テラコッタタイルとは、土を成型して焼いた素焼きタイルのこと。自然な色むらと素朴な風合いが特徴で、やさしいベージュカラーが人気です。
南欧風の住宅にもよく使われていますが、和のテイストにもマッチしますね。
囲炉裏に熾火を移すのもラクラクできる、機能的な薪ストーブスタイルです。
9. セコイア × レンガ(伊那展示場)
薪ストーブといえばやっぱりこれ!
最もポピュラーな薪ストーブスタイルである、レンガの炉台との組み合わせ。
間違いのない王道スタイルでありながら、選ぶレンガのカラーや形状によって、カントリー調にも和モダンにもデザインの幅が広がります。
伊那展示場では淡いベージュカラーをセレクト。無垢の木に馴染みやすいカラーリングで品よくまとまります。
また重厚なレンガは蓄熱性も高く、薪ストーブの輻射熱を蓄えて火がおちた後でも暖かさをじんわりと部屋に戻す効果も備えています。
10. ドロレデコ × 置き型鉄板(SEASON南原モデルハウス)
カナダ・SBI社の薪ストーブ、DROLET Deco(ドロレ デコ)。
環境配慮のための高い技術力を持ち、厳しい排煙基準を設定したEPA(アメリカ合衆国環境庁)の認定を、北米のストーブメーカーとしていち早く取得。
そのクリーンな排気と燃費の良さを備えながらも、コストパフォーマンスの良い商品展開が魅力の逸品です。
本体は直線ラインが基調の薄型シルエットで、燃焼室下部は薪置き場にもなる、省スペースな設計。
部屋の雰囲気や広さに縛られずに取り入れやすそうな薪ストーブですね。
SEASON南原モデルハウスでは、炉壁にホワイトの塗装を施した置き型鉄板を採用しています。
珪藻土壁に馴染み、オフシーズンは取り外すこともできて、インテリアの邪魔をしません。
11.エレメンツ603トンネル×スチールプレート(小布施モデルハウス)
ドイツの薪ストーブメーカー、スキャンサーム。
インテリアとして楽しめる、スタイリッシュで革新的なデザインの薪ストーブを開発してきました。
この薪ストーブの特徴は何と言っても、炎を二面から眺められるガラスにあります。
多くの薪ストーブが一面のガラスで、壁際に寄せることを前提としたデザインであるのに対し、このエレメンツ603ではより多様な間取りに取り入れることができます。
この家ではリビングとダイニングの間、家の中央に薪ストーブを据えました。
効率良く空間を暖めることができるうえ、家のどこにいても美しい炎を眺めることができます。その存在感で仕切らずとも空間を緩やかに分け、シチュエーションごと、また家族それぞれに異なる時を過ごせそうです。
炉台は薪ストーブのカラーに合ったスチールプレートですっきりと。インテリアや動線の邪魔をしないこのチョイスが間取りにも合っています。
12.アイアンドッグNº04 × 芦野石(松本南展示場)
先に紹介をした、「長野若里モデルハウス」と同じ「IRONDOGNo.04(アイアンドッグ)」を入れています。
30畳の土間サロンのおおよそ中心に配置し、薪ストーブの周りに自然と人が集まります。
松本南展示場の土間サロンは「芦野石」仕上げ。栃木県那須郡那須町の芦野地区が原産で、耐久性・耐熱性に優れ、全体的に薄く白っぽい色味が特徴です。
炉壁はステンレスの遮熱板で仕上げました。芦野石や珪藻土のナチュラルな雰囲気の中でアクセントになっています。
番外編 暖炉・ブルナー両面ガラス(軽井沢展示場)
軽井沢展示場にある、ドイツ・Brunner(ブルナー)社の Architecture fireplace シリーズは、炎の美しさを存分に楽しむための「暖炉」です。
しかも二方向から炎を楽しめる両面ガラスバージョンを採用!
写真上は軽井沢展示場のリビングから、写真下は土間サロンから見た暖炉で、1つの炎を2つの空間から眺めることができるのです。
余談ですが、よく「薪ストーブ」と「暖炉」を混同されている方がいらっしゃいますが、実は構造がまったく違います。
古くからある「暖炉」は壁に埋め込まれたスペースで、何の障壁もなく炎が感じられて一見とてもあたたまりそうに思えますが、実は暖房として活用される燃焼エネルギーはほんの10~20%程度。これ以外の大量のエネルギーは煙とともに煙突から放出されてしまいます。そこで、燃焼エネルギーを暖房に最大限活用するために開発されたのが、密閉式で燃焼できる「薪ストーブ」なのです。
暖房器具としての効率の良さを考えれば圧倒的に薪ストーブなのですが、軽井沢の別荘で非日常の時間を過ごしたい‥という方には暖炉もマッチするかもしれません。
開口が大きいので燃焼の様子がありありと見てとれ、直火のあたたかさを感じられます。
まとめ
ここまで13の薪ストーブ実例コレクションをご紹介しました!お気に入りの薪ストーブスタイルは見つかったでしょうか。
オフシーズンでも、薪ストーブのデザインをポイントに展示場巡りをするのも楽しいのでは。火が入っていないからこそインテリアの全体感に目を向けたり、手で触れて質感を確かめることもできます。
長野県内各地の展示場で皆様のお越しをお待ちしております♩