愛犬は大切な家族ですから、家づくりは人間だけでなく、ペットにとっても快適に暮らせるものを目指していくことが大切です。犬の習性や行動を考えながらレイアウトなどを工夫することで、危険や運動不足を防ぎ、安心に暮らせる家を目指せます。
今回は、犬と暮らす家のレイアウトのポイントやトイレの匂い対策も解説します。
目次
- 犬が好きなことは?
- 犬の苦手なことは?
- 犬と暮らす家に必要なアイテムは?
- 犬と暮らす家の事例
- 家で犬と暮らすときの10のポイントは?
- 愛犬との暮らし、よくあるお家のお悩みと解決策
- 家づくりについて相談会で聞いてみよう
- 犬が安全・快適に暮らせる家を目指そう
犬が好きなことは?
犬はお散歩が大好き
犬はお散歩にいこうというと、目をキラキラさせて大喜びしてしまいます。散歩は犬にとって生きがいであり、気分転換やストレス解消にもなります。
狭い所が大好き
犬の祖先は穴ぐらで生活をしていました。その時の名残で、狭い所に行くと本能的に落ち着き、犬は安心感やリラックス効果をえることができます。
穴掘りが好き
犬はもともと巣穴を掘って住む修正があります。安心できる寝床を作る、大切なものを隠すといった目的がある場合やただ楽しいから掘るといった場合もあります。
犬の苦手なことは?
ひとりぼっちは嫌い
犬は群れの中で生活する動物なので、寂しがり屋な性格をしています。孤独が嫌いなので、長い時間一人ぼっちにさせると、ストレスや不安を感じてさせてしまいます。
暑いのが苦手
犬はほとんど汗をかけないので、体温調節が苦手な動物です。暑さに弱く、人間よりも熱中症になりやすいと言われています。
犬と暮らす家に必要なアイテムは?
①運動編
ドッグラン
ドッグランは、犬がリードを外し、自由に運動したり、遊んだりできるスペースのことです。自宅の庭にドックランを作ることで、運動不足の解消や新しい友達を作る社交場になります。
洗面室
散歩は準備や後片付けが大変です。玄関の近くに洗面台があると、スムーズに散歩するために便利です。
足洗い場
散歩後に足の手入れをおこたると、家の中が汚れてしまいます。足洗い場があれば、毎日の足洗いが格段に楽になります。
玄関土間収納
玄関土間収納があると、散歩グッズを収納するのに便利です。散歩前の準備や片づけなどを効率よく行えます。
回遊動線
回遊できる動線を取り入れることで、犬は家の中を行き来しやすくなります。それにより、外に出ることができない日や、家で留守番している最中でも、運動やストレス発散がしやすくなります。
②生活・習慣編
小窓
犬が出入りできる小窓をつければ、家の中を歩きやすくなります。小さなでっぱりやデコボコがあると首輪が引っかかってしまうので、首輪は引っかからないものを選びましょう。
トイレスペース
明確にトイレとわかるスペースがあれば、犬は安心して排泄することができます。トイレスペースは、愛犬にとってトイレをしやすい環境に設けることが大切です。
食事スペースや収納
犬専用の食事スペースがあれば、安心して食事ができます。また、収納スペースがあれば、食事の用意や片付けもスムーズです。
掃除道具入れ
飼育の妨げにならないよう、犬の使うものや犬用スペースは日常的に掃除をする必要があります。掃除道具入れがあれば、毛がボロボロと落ちた後に掃除がしやすくなり、清潔に保ちやすくなります。
見晴らし窓
犬の目線の高さに合わせた小窓は、犬の特等席になります。見晴らし窓があれば、窓から飼い主を見送ったり、景色を楽しんだりできます。
水飲み場
犬は暑さに弱いので、水飲み場があると安心です。暑い季節には、複数水飲み場を用意すると、水分補給がしやすくなります。
インナーテラス
インナーテラスがあれば、ゆっくりくつろぐことができ、犬にとって心地よい空間になります。
③安全編
滑りにくい床材
住宅で一般的なフローリング。硬く、表面に光沢があるためお手入れはしやすいものの、犬は常に滑らないよう踏ん張っている必要があります。足腰や関節に負担が大きいため、滑りにくい床材を選ぶと良いでしょう。
コルクやクッションフロアは弾力があり、滑りにくい素材です。またペット用に滑りにくい加工がされたフローリングもあります。
ペットゲート
キッチンには、包丁や火、犬が食べてはいけないものなど、危険なものが多くあります。ペットゲートで立ち入り禁止にすると安心です。
アプローチ
玄関前のアプローチに門戸や犬用のフェンスを設けることで、防犯性を高め、道路への飛び出しを防ぐことができます。
緩勾配階段
階段の上り下りは、犬にとって大きな負担に。階段を緩勾配にすることで上り下りが楽になり、ケガや事故を防止しやすくなります。
④住まいづくり編
ここでは愛犬との快適な生活ができる住まいづくりのヒントをご紹介します。
タイル
暑さに弱い犬は夏場ひんやりとしたタイルの空間があるとごろんと横になって休むことができます。硬く、簡単に拭き取りができるタイルは汚れ対策や傷対策としてもぴったり。ペット専用スペースの床をタイルにしても良いですね。
ドアクローザー
ドアクローザーはドアの上部に取り付ける建具金具で、ドアの開閉をゆっくりにしてくれるものです。何かの拍子にドアが勢いよく開閉し、ぶつかったり体を挟んでしまう事故を防ぎます。特に重い開き戸にはドアクローザーをつけておくと安心です。
脱臭効果の高い壁材
犬を飼っていると気になるにおい。面積の広い壁に脱臭効果の高い壁材を用いると効率的ににおい対策をすることができます。珪藻土などの自然素材にも消臭効果がありますが、調湿・脱臭・水拭きまでできるペット向けの壁材もありますので空間ごと目的に合わせて使っても良いでしょう。
犬との暮らしがさらに快適になるおすすめアイテムは?
あると日々の生活がもっと快適でもっと楽になるアイテムをご紹介します。
マルチシンク
小型の犬がすっぽりと入るほどの大きさのシンクとハンドシャワー水栓が備わった洗面台があると愛犬のお手入れが楽になりますよ。散歩帰りの足を洗うのはもちろん、シャンプーにも使えます。玄関に近い位置や土間に設置するとさらに便利です。
屋外水栓パン
大型犬であれば屋外に温水の出る水栓を用意すると良いでしょう。水栓パンにすのこを敷くと足触りが柔らかで汚れもつきにくいためおすすめです。水洗にフックを取り付けるとリードを繋いでおくこともできますよ。
室内用ペットドア
ドアの下部に犬が通れる大きさの犬用ドアを取り付けると、人が毎度ドアを開け閉めしなくても犬が自由に出入りできるため便利です。生活習慣を考え取り付ける位置を検討しましょう。
犬と暮らす家の事例
①土間でまどろむ時間
陽がよく入る上部吹き抜けの土間の、薪ストーブ横がぽかぽかのワンちゃんスペース。家の特等席です。
家の中心にある土間にはダイニングテーブルが置かれ、食事の度に家族が集まります。リビングダイニングキッチンと区切りなく開かれた空間は、どこにいてもいつも家族と一緒。
土間の素材はタイル。汚れや傷、多少の毛玉だって気にならない土足で過ごせる土間はワンちゃんと過ごす家族にぴったりです。
フルオープンサッシを開けるとフラットに繋がったウッドデッキへ出られます。毎日開放的な景色を楽しむことができますね。
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②広々ウッドデッキが楽しい家
家を建てたらバーニーズマウンテンドッグを飼いたかったというご夫婦。10畳以上もの広々としたウッドデッキで愛犬と遊ぶ日々が実現しました。
大型犬には相応のサークルやクレートが必要です。キャンプ用品の収納も兼ねた土間にワンちゃん専用スペースを作りました。コンクリートの土間はやはり汚れが目立たず、お手入れも楽々。
キッチン・ダイニングから続く土間はオープンな空間で、家族と共に毎日を過ごせます。二方向に大きな開口部があり、外の見晴らしも抜群です。
③見晴らし窓がある家
二階にワンちゃんが無理な体制をとらなくても外が見える見晴らし窓を計画しました。
一階では来客や他の動物ど窓越しに視線が合うなど緊張が高まる場面もありますが、二階の窓は景色を上から眺められるため、プライベート空間で警戒感を抱かずにリラックスすることができます。外を眺めながらまどろむ時間が気持ちよさそうですね。陽が入り冬も温かです。
一階はピットリビングとし、ソファを置きました。土間部分にクレートを置き、視線の下がった落ち着く場所で寝られるようになっています。
④家族と一緒が嬉しい家
家族がくつろぐリビングに隣接した土間がワンちゃんスペース。土間をリビングに食い込ませるように形どり、よりワンちゃんと家族の距離が近づけ一体感を持たせました。段差もごく浅くし、視線も合うように。ただし、埃や砂、毛が入り込まないような絶妙な高さに設定しました。洗い出し仕上げのコンクリートは汚れが目立たず滑りにくく、ワンちゃんスペースにぴったり。大型犬用のクレートを置いても余裕があり、ご飯も遊びもここでできます。
大きな掃き出しの窓から外を眺めるのも楽しみの一つではないでしょうか。
家で犬と暮らすときの10のポイントは?
①犬が誤飲しやすいものは届く範囲に置かない
人間が生活する家は、沢山のもので溢れかえっています。しかし、その中には犬が誤飲や誤食することで、健康に悪影響を及ぼしてしまうものもあります。チョコレート、ネギ、たばこ、プラスチック片やおもちゃ、小物類、電池など、犬にとって危険なものは実に様々です。犬の近くには食べ物を置かない、危険なものは頑丈な容器にしまっておくなど、安全な部屋作りを目指すことが大切です。
庭の植物にも注意
一般的に庭に植えて楽しむ花や植物にも犬が食べてしまうと食中毒を起こすものがあります。
チューリップやアサガオ、パンジーなど美しい花を咲かせるものにも毒があります。また花や植物によって花や葉、種子、球根など毒が含まれる部分が異なるため注意が必要です。
さらに除草剤や肥料にも毒性の強いものがあるため、成分表を確認し使用を避けるようにしましょう。
②人間の食べ物を犬に与えない
家で犬と暮らすときは、人間の食べ物を与えないようにすることが大切です。人間が良く食べる食材は、犬にとって有害になってしまうものもあり、中でもネギ類や香辛料、甲殻類、魚種などには、中毒症状を起こしたり、命の危険になってしまったりするものもあります。
また、人間の食べ物は高カロリーの食べ物が多いため、与えすぎると肥満の原因になってしまうこともあります。犬の安全を守るためにも、欲しがっても上げないことが大事です。
③床は安全な素材を使用
犬が生活するスペースの床は、滑りにくい素材のものがおすすめです。室内で日々を過ごす犬にとって、滑りやすい床は足腰に負担をかけ、ケガの原因になってしまいます。無垢のフローリング、タイルやコルク素材など、床の素材は安全なものを選んでいきましょう。
④危険な場所には入れないようにする
家の中には危険がいっぱいあり、室内飼いをしているからといって、安全というわけにはいきません。急な飛び出しや、出入りして欲しくない場所への侵入を防ぐため、ペットゲートを設置すると安心です。キッチン、玄関、階段、浴室、ベランダなど、ケガやトラブルが発生しやすい場所に設置しておきましょう。
⑤トイレは人の通らない場所へ
日頃良く使う場所や、生活動線になっている場所だと、臭いが気になりますし、間違って踏んでしまったりすることもあります。人が通らない場所に置けば、犬も落ち着いてトイレすることができます。犬のトイレはこまめに掃除したり、消臭スプレーなどを使用したりすることで、臭い対策になるでしょう。また、室内でマーキングしてしまった場合には、速やかに掃除を行い、消臭をすることが防止策になります。
⑥トイレ以外の臭い対策も工夫する
ペットを飼っているとどうしても気になる臭い。トイレはもちろんのこと、犬のベッドやソファなどのファブリックにも臭いは付きやすいもの。消臭スプレーの使用やこまめな洗濯、掃除で対策をしましょう。
また床や壁もペット用に消臭・防臭・抗菌効果のあるものがあります。新築時やリフォームの際にそういったものを選ぶと広範囲で臭い対策ができるため効果的です。
➆窓の仕様、高さを調節して安心できるようにする
犬は鼻だけでなく、耳も人間の何倍も良い動物です。そのため外の車の音や人の声が気になってストレスになってしまうという場合もあります。音の一番の出入り口は窓です。窓やサッシを高性能のものとすることで防音効果が期待できます。また、窓の外に人や車、犬などが見えることで怯えたり吠えたりすることもあるようです。窓の高さを工夫し、犬が安心して過ごせる空間を確保しましょう。
⑧走り回れるスペースがあると◎
一日の中でメリハリをつけ、ゆっくりと休む時間と活発に活動する時間があると健康的です。天気や気温に関わらず、走り回れるスペースがあると犬はのびのびと過ごすことができます。とはいえ家の中に専用のスペースを作ることは難しい場合も多いですよね。回遊性のある間取りであれば、専用のスペースがなくても行き止まることなくぐるぐると動き回ることができますよ。
⑨犬が落ち着く場所を確保する
家は人間同様、犬にとってもほっとする空間であってほしいですよね。特に寝る場所は籠るような場所だと落ち着きます。家族が騒がしくしているところでは落ち着いて休みにくいため、団らんスペースから少し離れた場所に犬用のスペースを作ることも一つです。みんなで一緒に過ごせる場所、一人になれる場所、それぞれ確保できるといいですね。
⑩愛犬のお手入れ・ケアを怠らない
犬も様々なケアが欠かせません。シャンプーやブラッシング、爪切りなど怠ると病気やケガの元になってしまいます。また抜け毛や臭いが増えたり、爪で床や壁が傷つくといった問題も出てきます。日常的に愛犬の身体に触れていると異常の早期発見にも繋がります。家族全員が気持ちよく過ごすことができるよう、こまめなケアを心掛けましょう。
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愛犬との暮らし、よくあるお家のお悩みと解決策
憧れる愛犬との暮らしですが、一筋縄ではいかないこともあるようです。どんなことで悩むことが多いのでしょうか。
目立つ汚れや傷
犬と暮らしているとどうしても気になるのが汚れや傷ではないでしょうか。
爪や歯による傷や、粗相やよだれ、餌などの汚れは一度目につきはじめると気になってしまうものです。
対策として最も有効なのは、予め床や壁に傷や汚れがつきにくい素材を選ぶことです。フローリングやクッションフロアなどは、水が染み込まず簡単に汚れを拭きとることができる素材です。ペット用に滑り止め加工がされたフローリングがあるのでそういったものを選ぶと良いでしょう。またカーペットやコルクなど柔らかい素材を選ぶと傷にならない他、犬の身体への負担も減ります。ただしフローリングよりも汚れの拭き取りがしにくいため、撥水加工されているものなどを注意して選びましょう。
タイルマット状のものであれば汚れた部分だけをはがして洗ったり、交換したりといった対処も可能ですので検討してみてください。
気になる臭い
犬に限らず動物は臭いがするものです。普段生活をしていると気付きませんが、外から帰ってきたり来客時に気になる場合もあります。知らぬ間に家具や物にも臭いは染み付いてしまいます。
臭いは元を断つことが重要です。トイレが汚れたらなるべく時間をおかずに片付けるようにしましょう。またこまめなシャンプーやブラッシング、拭き取りなどで愛犬を清潔を保つことで体臭を抑えることができます。
犬の周囲にあるベッドやブランケットなど臭いの付きやすいファブリック製品も洗濯をしましょう。
臭いは空気中を漂って物についていくため、犬スペースやトイレ付近に換気扇をつけると効果的です。壁に消臭効果のある素材を使うのも良いでしょう。様々なデザインが出ていますし、自然素材の珪藻土も消臭効果があります。
騒音問題
犬の吠える声はピアノの音よりも大きいと言われ、ご近隣との騒音トラブルに発展する可能性もあるため配慮が必要です。
手軽にできる防音対策としては防音カーテンがあります。また、窓を内側に二重に設置することで外に漏れる音を減らすことができます。外から入る音も小さくなるため緊急車両のサイレン音など犬の緊張が高まってしまう原因を減らせます。
また外に漏れる音以外にも、夜に走り回る足音など家族への影響が出る場合もあります。
足音には吸音するタイプのマットが有効です。先に挙げた汚れや傷の防止にもなるコルク材は吸音効果が高いためおすすめです。
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犬が安全・快適に暮らせる家を目指そう
犬が安全に暮らしていくためには、ペットの目線に立って、レイアウトや設備を考えていかなければなりません。運動できる場所や、自然を感じてリラックスできる場所、家族とコミニュケーションできる場所、遊びや食事、トイレが自分のペースでゆったりできる場所など。人とペットとが心地よく暮らせる、愛犬への愛情がたくさんつまった家を目指していきましょう。
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