暖炉のある家に、一度でも憧れを抱いたことのある方は多いのではないでしょうか。
暖炉は暖かいだけでなく、デザインの面でも人気があり、いまなお多くの方に愛されている暖房器具です。
今回は、そんな暖炉の特徴やメリット、注意点などをご紹介していきます。
INDEX
- 暖炉とは?
- 暖炉と薪ストーブの違い
- 暖炉のメリット
- 暖炉のデメリット
- 暖炉の種類と設置費用
- 家の種類によって設置可能な暖炉
- 暖炉のおすすめの楽しみ方
- 暖炉の注意点・ポイント
- 暖炉のメンテナンス方法
- 工房信州の家がおすすめする薪ストーブとは?
- まとめ
暖炉とは?
暖炉は、映画や本などでみたことのある方も多いと思いますが、厳密にはどのようなものを指すのでしょうか?
そもそも、暖炉はレンガや石材といった資材を利用し、建物と一体に作られた「炉」のことを指します。
暖炉の仕組みは、中に薪や石炭などを入れて燃やし、燃えた炎の放射熱で部屋を暖めるというものです。
「暖炉は昔のもの」といったイメージをお持ちの方も多いですが、家族で暖炉を囲めば、冬は暖かいだけでなく団らんの場ともなり、デザインの面でもよい印象を与えてくれるため、今でも根強い人気を誇る暖房器具なのです。
暖炉と薪ストーブの違い
暖炉も薪ストーブも、どちらも薪を燃料とする暖房器具です。しかし、両者には様々な違いがあります。それぞれの違いを見てみましょう。
まずは暖炉について。暖炉の材質は、レンガや石材でつくられることがほとんどです。時にはごろた石(道などに転がる石)や、基礎工事などで採掘された石を積み上げることも。
設置場所とすると、暖炉は壁面に埋め込まれることが多数です。ごくたまに、リフォーム等で暖炉を後から設置する場合は壁面より手前に施工することもありますが、基本的には壁面埋め込みとなります。そうした形状から、煙突は壁内を通ることがほとんどです。
また、暖炉には扉がなく、薪や炎がむき出しでそのむき出しの炎からの輻射熱で温めます。しかし薪を燃やした得たエネルギーの90%近くは煙突から外に放出されてしまうため、火のそばの直接的な部分しか暖かくないのも特徴です。
続いて薪ストーブについて。薪ストーブは鋳鉄やスチール、鋼板からつくられるのが一般的です。
設置場所は部屋の一角に据え置かれます。家の中心に置いたり、角部に置いたり、間取りに合わせて比較的自由に設置ができます。煙突は室内に露出することが多く、曲げて壁面から外部に出すか、そのまま屋根から外部に出します。
煙突が室内に露出することで、煙突からの放熱もあり暖房効率の良さにつながります。
また、薪ストーブには扉があることで炉内が密閉され、温まった熱を本体全体から放熱します。暖炉と比べ熱効率が良く、家の規模にもよりますが1台あれば家の全体が暖まりやすいでしょう。
暖炉のメリット
そんな暖炉を設置するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
炎のゆらめきによる癒やし効果
暖房器具としての暖かさが確保できるのはもちろんですが、一番のメリットとしては、炎のゆらめきがわたしたちに癒やしを与えてくれるという点です。
この炎のゆらめきには「1/fゆらぎ」と呼ばれる癒し効果があるとされています。
「1/fゆらぎ」とは、規則性と不規則性が調和した動きをもったもののことを指し、炎以外にも、風の音や波の音など、自然のなかの音などによくみられます。
人間は「1/fゆらぎ」を感じると、脳波がリラックス時に出されるα波の波形をしめすともいわれているため、私たちの生活に癒やしを与えてくれるのです。
暖炉のデメリット
では、暖炉のデメリットについてもみていきましょう。
メンテナンスが大変
暖炉を設置することの一番のデメリットは、ほかの暖房器具と比べても掃除やメンテナンスが大変であるということでしょう。
プラスチック製の暖房器具であれば、お手入れも簡単ですが、暖炉となるとそうはいきません。
お手入れの頻度も、最低1シーズンに1回はしなくてはならないため、掃除の手間も増えます。
また、薪の調達もしなければならないため、談をとるまでに手をかける必要がある器具です。
こうした工程を楽しむことができる住まい手の方や、専門業者に依頼する前提であればよいですが、導入すべきかどうかには向き不向きがあるといえるでしょう。
暖炉の種類と設置費用
ここからは、暖炉の種類や設置費用についてご紹介していきます。現在はさまざまなタイプの暖炉がありますので、暖炉の導入を検討される方はぜひ参考にしてみてください。
薪暖炉
まずは、最も基本的な薪暖炉からみていきましょう。
この薪暖炉は壁と一体となって埋め込まれている、定番のものです。暖炉の歴史をみても最も古くからある、スタンダードな暖炉といえます。
この薪暖炉は、その名のとおり薪を炉のなかに入れて、燃やすことで暖めるものです。炎のゆらぎもみられるため、生活に癒やしを与えてくれます。
この薪暖炉は、時代とともに進化を重ねていますが、そのほか新しいタイプの暖炉と比較すると、機能面で劣ってしまいます。そのため、薪暖炉はインテリアとしての役割のほうが強いといえます。
家に合わせオーダーすることが多いため、費用は高額になることが多いです。使用する材質や大きさ、施工方法により異なりますが、一般的には100万円程から、オーダーの内容によっては500万円程することもあるでしょう。
ガス式暖炉
ガス式暖炉は、ガスを利用して火をともす暖炉になります。
この暖炉は、ガス会社との共同開発によって生み出されました。
このガス式暖炉のメリットとしては、スイッチひとつで火をつけられ、暖まるのも早いといった点です。
また、実際の薪暖炉のような炎も味わうことができるため、癒やし効果もあります。
ガス式暖炉の中にはセラミック製の薪が飾られているため、本物の薪暖炉を使用しているかのような気分を十分に味わうことができます。
本体価格の費用相場は50万円~100万円程。メーカーの製品グレードによって、比較的少額なものから100万円近いものまであります。
電気式暖炉
近年は、電気式暖炉も人気を集めています。
この電気式暖炉の一番の特徴は、火を使わないため安全で、なおかつすぐに部屋を温めることができるという点でしょう。
また、デザインも豊富であるため、インテリア性を重要視している方にも人気の暖炉となります。
本物の火は使わないものの、イミテーションの炎や薪を見られるものもあり、本物の薪暖炉を囲んでいるような気分になることができます。
イミテーションの炎のものは1万円程から設置できる場合も。こちらもメーカーの製品グレードによって、本体価格50万円~100万円近い高額なものまであります。
バイオエタノール暖炉
バイオエタノール暖炉の一番の特徴は、煙突を必要としないこと。
暖炉を設置する際に大きな壁となることが多いのがこの「煙突」ですが、燃料がサトウキビやとうもろこしでできた「バイオエタノール」を利用して燃やすため、煙が少なくて済み、煙突を設置せずとも使用することができます。
また、地球にも優しいため、ぜひおすすめしたい暖炉です。
近年はデザインも豊富になっており、高性能なものも増えているため、気になる方はぜひ一度調べてみてください。
埋め込み型だと本体価格で30~200万近く、置き型のものでも数万円~150万円程のものもあります。メーカーの製品ラインナップも豊富なので、予算やデザインで様々なものが選択できるでしょう。
薪ストーブ
暖炉とは少し異なりますが、薪ストーブを検討してみるのもおすすめです。
薪ストーブは、薪を燃料とする暖房器具で、ストーブの輻射熱を利用して家全体を暖めます。
薪ストーブがあれば、ぱちぱちと木がはぜる音や、木がゆっくりと燃えていく匂いを感じることができるほか、炎のゆらぎも味わうことができ、暖かさだけでなく生活に癒やしをもたらしてくれます。
ストーブ全体の熱でやわらかな暖かさを発してくれるため、暖炉と並んで人気の高い暖房器具です。
煙突設置費も含め、80万円~200万円程が相場です。
置き型タイプ
置き型の暖炉とは、その名のとおり置くだけで利用することができる暖炉です。
通常の暖炉は家に暖炉を設置するための工事費用がかかりますが、置き型のタイプであれば工事が一切不要であるため、置くだけで設置することができます。
制約なしで設置できるため、気軽に導入できる暖炉のひとつです。
「暖炉を設置したいけど、工事費用がかかるのが嫌」という方は、ぜひこの置き型暖炉を試してみてはいかがでしょうか。
家の種類によって設置可能な暖炉
「暖炉を設置したい」と思っても、実際には家の種類ごとに設置できる暖炉の種類は異なります。
それぞれメリット・デメリットや注意点もありますので、以下でご紹介していきます。
戸建てや持ち家の場合
戸建てや持ち家に暖炉を設置する、という方は、本格的でもっともスタンダードな壁に埋め込むタイプの暖炉がおすすめです。
マンションや賃貸では、なかなか火を扱い、煙の出る暖炉を設置することが難しくなってくるため、この暖炉は一軒家ならではの醍醐味ともいえます。
本格的な暖炉であれば、ぱちぱちと木がはぜる音や、木がゆっくりと燃えていく匂いを感じることができるほか、炎のゆらぎも味わうことができ、暖かさだけでなく生活に癒やしをもたらしてくれます。
もし新築で埋め込み式の暖炉を入れたいとお考えの方は、家の構造にも大きく関係してきますので、設計の段階からイメージを伝えておくようにしましょう。
注意点は、暖炉は主に冬に使用するものであるため、夏に邪魔にならないような場所に設置をすることです。
暖炉の設置は、設計の段階がもっとも重要になってくるため、あらかじめ業者に相談しておくようにしましょう。
マンションや賃貸の場合
マンションや賃貸でも、暖炉を楽しむことができます。
おすすめの暖炉は、ガス式の暖炉や電気式の暖炉、煙の出ないバイオエタノール暖炉などです。
火をみながら暖炉を楽しみたい、という方は、バイオエタノール式かガス式のものを選びましょう。
ここで挙げた暖炉は煙をあまり発生させないため、煙突もなく管理が楽といった、たくさんのメリットがあります。ぜひ、自分にあった暖炉を選んでみてください。
暖炉のおすすめの楽しみ方
炎のゆらめき、音や香りを楽しむ
暖炉は炎がむき出しの状態なので、火をより身近に、直接的に感じることができるのが最大の楽しみではないでしょうか。
炎が揺らぐ様子は、時を忘れて見入ってしまうほど。ぱちぱちと薪のはぜる音もずっと聞いていたくなるようなものです。薪が燃える香りも魅力の一つ。暖炉でしか味わうことが出来ない炎の美しい表情があるので、お酒を飲みながら、本を読みながら、ついうたた寝をしてしまいそうな癒しの時間を楽しむことができます。
オリジナルデザインを楽しむ
薪暖炉はオリジナルのものを設計することができるのが魅力です。
例えば、基礎工事の際に採掘された石をセルフビルドで組み上げたり、アンティークレンガを使用した暖炉なども存在します。より自然に近い素朴さを表現することができるのも魅力。火室を高めに設定したりもできるので、より生活の目線に近い位置で炎を楽しむ工夫をすることができます。
我が家だけのオリジナル暖炉をプロと一緒に作り上げるのも楽しみの一つです。
料理を楽しむ
暖炉の直火で料理を楽しみましょう。焼き芋や焼き栗、焼きマシュマロといった手軽なものから、ダッチオーブンを使った本格的な料理、鉄板を使ってピザを焼いたり…ガス火とは一味違った直火ならではの料理を存分に楽しむことができます。
炎が身近になるので、料理のレパートリーが広がりそうですね。
家族のコミュニケーションの場に
炎を身近に扱う暖炉があれば、お子さんに生きた火の扱いや楽しみを伝えることができます。
暖炉を中心とした家族や親子のコミュニケーションの場にもなります。
暖炉があると、冬は自然と家族がそのまわりに集い、テレビを見るより炎をながめる時間が長くなる、という声はとても多く聞かれます。炎のある生活は、暮らしを楽しく豊かにしてくれるでしょう。
暖炉の注意点・ポイント
ここからは、暖炉に関する注意点やポイントをご紹介します。
暖炉は火をともなう場合が多いため、使用の際にはいくつかの注意点を確認し、十分に気をつけて利用する必要があります。
さっそく、確認していきましょう。
使用する際は換気に注意する
暖炉を使用する際には、こまめに換気をおこなう必要があります。頻度としては、1時間に1回程度が適切です。
また、暖炉を使用し終わったあとも、もし火がついているようであれば、煙突のダンパーを必ず開けておくように注意しましょう。
ダンパーを閉めてしまうと、一酸化炭素が部屋中に充満し、一酸化炭素中毒に陥る危険性があります。
また、特にバイオエタノール暖炉を利用する場合、一酸化炭素は発生しませんが二酸化炭素が発生するため、部屋の中の二酸化炭素濃度の上昇を防ぐためにも一時間に一回は必ず換気する必要があります。
以上のように、火をともなう暖炉を利用される方は、十分に注意して扱いましょう。
近所にも配慮する
暖炉を使用する場合は、近所の方への配慮も必要です。
煙突をともなう暖炉の場合、煙やにおいが発生するだけでなく、煙突内のタールが燃えることで、煙突から火の粉がでるなどの現象が起きる場合があります。
このように、暖炉の使用は近所に迷惑をかける場合があるので、定期的に煙突の掃除をするなど、日頃から管理をおこなっておくことが必要です。
暖炉に最適な薪を使う
暖炉には、適した薪を使用することが必要不可欠です。
腐っていたり、湿った薪を使うと、なかなか温まらなかったり、火災の原因になる場合もあるため、注意しましょう。
暖炉に適しているおすすめの薪は、以下のとおりです。
- ミズナラ
- コナラ
- クヌギ
- ブナ
- ケヤキ
また、これらの薪は、大前提としてしっかりと乾燥させている必要があります。
具体的には、最低でも12~18ヵ月は乾燥させ、水分量20%以下になっているものを使いましょう。
湿った薪は火がつきづらく、温まりにくいため注意が必要です。
さらに、薪を用意する際は、
- 直径2cm前後の焚きつけ用の薪
- 直径5cm前後の中くらいの薪
- 直径10cm前後の長時間燃焼用
の三種類のものを準備し、使い分けることができると便利です。
ファイヤースクリーンの設置を検討する
薪を燃やす際に、火の粉が飛んでくることがあります。
近くに燃えやすいものを置かないようにするほか、小さい子どものいる家庭は十分に注意しましょう。
心配な場合は「ファイヤースクリーン」と呼ばれる柵を、暖炉のまわりに設置するのがおすすめです。
暖炉のメンテナンス方法
ここからは、暖炉のメンテナンス方法についてご紹介します。
安全に暖炉を使用するためには、定期的に管理をおこなうことは必要不可欠。
業者に頼んで掃除してもらうこともできますが、ここでは自分でメンテナンスをおこなう場合についてご紹介します。
必要なアイテム
自分で煙突の掃除をおこなう場合、必要なアイテムは以下のとおりです。
- 軍手
- ビニールテープ
- ドライバー
- ビニール袋
- 煙突用ブラシ(直径150mm用)
- ロッド(1mを5〜6本)
これらのものが準備できたら、さっそくメンテナンスに入りましょう。
メンテナンスの手順
ここからは、具体的なメンテナンスの手順についてご紹介していきます。
少し手間はかかりますが、正しい手順を踏めばしっかりと掃除をおこなうことができますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 煙突の一番下の部分を取り外し、掃除機で汚れを吸い取る
- 煙突の下の穴部分をビニール袋で覆い、ススが落ちないよう、ビニールテープで固定しておく
- 袋に、ブラシとロッドが入るくらいの穴を開け、中に差し込む
- ロッドを右に回転させながら1本ずつ連結させ、煙突の奥に入れる
- 上まで届いたら、また右回しで引き抜いていく
以上がメンテナンスの手順です。
可能であれば1シーズンに1回、最低でも1年に1回は必ずおこなうようにしましょう。
もし不安があれば、無理をせずに専門業者に頼んでみるのもおすすめです。
工房信州の家がおすすめする薪ストーブとは?
ここまで「暖炉」について紹介してきましたが、火のある暮らしをご希望の方に向けて、私たち工房信州の家では「薪ストーブ」をおすすめしています。
その一番の理由は、薪ストーブは圧倒的に暖かいこと。
燃焼エネルギーを最大限活用するために開発された薪ストーブは、密閉式で燃焼し、その暖かさを輻射熱として室内に還元できます。
同じ薪を焚いても、暖炉ではその熱が煙とともに煙突から放出されてしまい、全体の燃焼エネルギーのうち暖房として活用されるのはほんの10~20%にしか過ぎません。
暖房器具としての暖かさを第一優先に考える方であれば、ぜひ薪ストーブを検討してみてください。
もちろん、優雅な炎を眺めて癒されたい、非日常の空間を演出したいなど、暖かさよりも優先したいポイントがある場合は、暖炉を検討されるのも素敵ですね。
目的に合わせた機種の選定が大切です。
長野県内に11か所ある工房信州の家の展示場には、すべて薪ストーブがありますので、その暖かさをぜひ体感してください。
現代インテリアにマッチするデザイン性の高さも見どころです。
▼ 展示場の薪ストーブ実例をまとめました!
▼ 1200棟の実績をもつ薪ストーブのある家をみる
まとめ
暖炉や薪ストーブについてまとめてきましたが、いかがだったでしょうか。
暖炉や薪ストーブは暖かいだけでなく、家族の団らんの場ともなるため、メリットづくしの暖房器具です。ぜひ、住宅の購入を検討されている方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、長野県で薪ストーブを取り入れた家をご検討の方は、私たちフォレストコーポレーションにお問い合わせください。信州産の無垢材を80%以上使用した、工房信州の家を、お客様のご要望に合わせてご提案いたします。床や壁、天井には無垢材を使用し、化学物質を使わない自然にも身体にも優しい住まいをご提案いたします。気になる方は、お気軽にご相談ください。
私たちは設計士や施工管理士といった建築のプロでありながら、全社員が「信州コンシェルジュ」として豊かな信州ライフをサポートしていきます。
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