企業の社員が仕事をしやすくするためには、働きやすい環境を作ることも重要です。
最近では、従来のオフィスとは違ったタイプのオフィスも利用されるようになっていて、サテライトオフィスというスタイルも注目されています。
テレワークの一種と考えられているサテライトオフィスは、オフィスの機能の一部を別の場所に移転するもので、オフィス移転を考えている企業にとっても効果的な方法です。
ここでは、サテライトオフィスを導入するメリットや、利用できる補助金制度などについて詳しく紹介します。
INDEX
- サテライトオフィスとは
- サテライトオフィスの種類について
- サテライトオフィスのメリット・デメリットは?
- サテライトオフィスに関する助成金・補助金制度について
- サテライトオフィスの導入方法
- サテライトオフィスの導入事例
- 家づくりについて相談会で聞いてみよう
- まとめ
サテライトオフィスとは
そもそもサテライトオフィスとはどのようなものなのでしょうか。
サテライトとは、衛星や人工衛星を意味する英語です。サテライトオフィスとは本社や企業の本拠地から離れた場所に設置されたオフィスのことです。本社よりも社員が通いやすい場所に設置され、必要最低限な機能をもっています。働き方改革によって、より柔軟な働き方が推奨されてきた背景があります。会社にもよりますが、社員が命令によるものでなく、自分の意思で通うことが出来るという特徴もあります。
サテライトオフィスが注目される理由
サテライトオフィスという言葉が使用されるようになったのは1980年代後半ですが、多くの人に知られるようになったのは、2010年代になってからです。
これは、政府が奨励している働き方改革によって、従来よりも柔軟性のある働き方ができる環境が求められるようになったからです。
サテライトオフィスが注目されているもう一つの原因は、2020年から猛威をふるった新型コロナウイルス感染症です。
病気の感染を予防するためには、多くの人が一つの場所に集まって仕事をする従来型のオフィスでは不都合であったために、サテライトオフィスが注目されるようになりました。
企業にとってもサテライトオフィスの設置はメリットがあり、オフィスの使用にかかるコストを削減できる効果もあるので、企業の導入率も増えています。
企業における課題とは
少子高齢化により生産年齢人口が減少が止まらず、どの企業でも人材不足が顕在化し働き手の確保が課題となっています。
その一方で、現役世代では夫婦共働き世帯の増加もあり、育児や介護と仕事との両立に追われています。
企業はこうした働き手がおかれた多様な環境に応える必要に迫られています。
さらに、終身雇用の時代が終わりを迎え、より良い条件の会社へ転職することが当たり前となっています。社員のニーズに応えられれば離職率を抑えることが出来、また新たな人材の獲得にも繋がるでしょう。
サテライトオフィスはこうした人材不足の課題解決に繋がる一つの方法になると言えるでしょう。
他のテレワークとの違い
サテライトオフィスはテレワークの一種と考えられていますが、一般のテレワークとは別のものとして区別されています。
テレワークの代表的なものである在宅勤務との大きな違いは、社員が仕事をする場所を、会社が別に用意することです。
在宅勤務の場合には、パソコンなどを使用して社員の自宅をオフィス代わりに使用するので、オフィスを用意する必要はありません。
テレワークの一つであるモバイルワークとも違いがあり、モバイルワークは仕事先の現場や顧客がいる場所で、ネットを使用して働く仕事であるため、サテライトオフィスのように特定の仕事場を用意する必要がないのが特徴です。
サテライトオフィスの種類について
都市型サテライトオフィス
サテライトオフィスの中でも、都市部にオフィスが設置されるタイプのものを、都市型サテライトオフィスと呼んでいます。
このタイプのオフィスを設置することが多いのは、都市以外の場所に本社がある企業です。
本社が地方にある企業の場合、都市部で営業をする社員は仕事に時間がかかってしまう場合が多いですが、都市部に営業のための拠点を設置しておくことで、社員がスムーズに仕事に取り組むことができます。
都市部に本社がある企業が都市型サテライトオフィスを設置する場合もあり、本社とは別の機能をサテライトオフィスに持たせるために、作られるケースもあります。
郊外型サテライトオフィス
都市の中心部から少し離れた場所に設置されるのが、郊外型サテライトオフィスです。
このタイプのサテライトオフィスを設置することが多いのは、都市部に本社のオフィスがある企業です。
本社から少し離れた郊外にオフィスを設置する理由としてあげられるのは、社員の通勤時間を短縮することです。
毎日、郊外から出勤している社員の通勤時間を、大幅に減らすことができます。
その一方で企業にとっても、社員の通勤費用を削減できるという利点があります。
通勤にかかる時間を少なくすることで、社員が仕事以外のことに使用できる時間が増えるメリットもあり、子育てをしながら働いている社員にとっても非常に有利です。
そのため、社員が退職してしまうのを防止できる効果もあります。
地方型サテライトオフィス
地方型サテライトオフィスは、大都市圏から離れた地方の都市に設置するタイプのオフィスです。
都市部に本社がある企業が、地方にサテライトオフィスを置くケースが多くなっています。
地方型サテライトオフィスを設置することにより、特定の地方で事業を開始する時の拠点を作ることができます。
従来とは違った種類の事業を始める時にも設置することができ、企業のビジネスチャンスを広げるための方法としても活用されています。
都市部のオフィスに通勤していた従業員が、自然の多い地方の環境で生活することにより、仕事と私生活をより上手く両立できるようになる場合もあり、企業の生産性を向上するための方法として設置されることもあります。
サテライトオフィスのメリット・デメリットは?
サテライトオフィスのメリット
サテライトオフィスを設置することにはさまざまなメリットがあります。
通勤時間間を削減できる
オフィスが都市部にあり、自宅が郊外にある社員なども、郊外のサテライトオフィスに出勤できるようになれば、通勤時間を大幅に短縮できます。
今まで通勤に使用していた時間を、他の仕事のために使用できるようになれば、業務効率を改善することも可能になります。
営業の仕事を担当する人にとってもメリットがあり、仕事をする拠点が営業のしやすい場所に置かれていれば、移動のための時間を少なくできます。
生産性を向上できる
オフィスが一つの場所に固まっている場合、どれだけ努力しても生産性を向上することに限界が出ることも多いですが、サテライトオフィスを設置して社員を分散させることで、生産性が大きく向上することがあります。
社員が自由に使用できる時間をより多く作れるような場所に、サテライトオフィスを設置すれば、仕事とプライベートのメリハリがつけやすくなるので、生産性が上がることも多いです。
経営コストを削減できる
本社とは違う場所に設置するオフィスとして、これまでは支社が設置されることが多かったのですが、支社は設置するのにコストがかかるというデメリットがありました。
ですが、サテライトオフィスは支社よりも安いコストで設置できる場合が多いので、予算をかけずに新しい拠点を作りたい企業にとってもメリットがある方法です。
人材を確保しやすくなる
先に述べたように、現在企業では人材不足が問題となっています。
柔軟な働き方を実現することが出来れば、様々な環境におかれた働き手を確保することが出来ます。
また多様なニーズに応えることが出来るサテライトオフィスがあることで、社員の満足度が上がり離職率を抑えることが出来るでしょう。
BCP対策ができる
BCP対策(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、考えうるあらゆるリスクに包括的に対策することです。
日本は災害が多く、洪水や土砂災害、地震、噴火と地球温暖化に伴う異常気象もあり近年特に大規模な自然災害が多発しています。また自然災害だけでなく、新型コロナウイルスの流行を例としたパンデミックやテロ、情報漏洩や紛争など様々なリスクが存在しています。
会社はそのようなリスクが実際に起きた時にも事業をなるべく早く再開し継続しなければなりません。しかし様々なリスクに個別に対策を打つのは難しいため、出てきた考えがBCPです。
サテライトオフィスを設置することで、本社が被災した場合でも業務継続の拠点となり、スムーズに事業継続をすることが出来ます。
理想のワークライフバランスを実現できる
都市部に本社がある場合、自宅は郊外にある場合も多く通勤に多くの時間を割くことになってしまします。
しかしより通いやすい場所にサテライトオフィスがあれば、通勤時間を削減することができ、浮いた時間を家での趣味や家族と過ごす時間に充てることが出来ます。
地方創生ができる
地方にサテライトオフィスを設ける場合、そこに人が集まり飲食等することで地域の活性化が進み、地元自治体や地元企業との連携、さらには移住など、地域活性化のループが生まれる可能性があります。そのため政府でもサテライトオフィス設置を推進する動きがあります。
ストレス軽減になる
毎朝の満員電車や睡眠不足、人間関係など、サラリーマンが直面する厳しい現実が、サテライトオフィスを設置することで解消される可能性があります。一つの逃げ場のような場所があることで、従業員が心身にゆとりを持つことが出来るでしょう。
地球温暖化対策が可能になる
サテライトオフィスの設置により通勤時間の短縮による燃料費の削減や、勤務時間の短縮による照明や空調設備などの使用料削減など、地球温暖化対策も可能となります。
企業のイメージアップにつながる
上記の地球温暖化対策や柔軟な働き方の実現、地方創生の取り組みなど、サテライトオフィスを設置することで実現出来ることが企業のイメージアップにも繋がり、相乗効果を生み出すことが出来ます。
特に、職場と自宅が近くなることで拘束時間が減り、自由な時間が生まれることで良いワークライフバランスを維持することが出来る点は、転職や就活市場で重要視されます。企業イメージがアップすることで、優秀な人材の確保に繋がるでしょう。
サテライトオフィスのデメリット
社員同士のコミュニケーションが減る可能性
離れた場所で社員が仕事をしていると、社員同士が直接接触する機会も大きく減少してしまうために、意思の疎通が難しくなることがあります。
通信設備を使用すれば、ある程度コミュニケーションの不足を解消することはできますが、通信の環境によっては情報の伝達に支障が出るケースもあります。
そのために、通信設備は品質の高いものをそろえておくことが重要です。
セキュリティリスク
社内の重要なデータが複数のオフィスのパソコンに置かれていると、その分、重要な情報が外部に流失してしまう危険性も高くなってしまいます。
会社が社員に支給しているパソコンならば、情報の流出をおさえることができますが、社員がプライベートにも使用しているパソコンを使って仕事をしている場合には、さらに流出の危険性が高くなります。
重要なデータの流出を防止するためには、性能の高いセキュリティソフトを使用するのが効果的な方法です。
適切な評価が難しい
サテライトオフィスでは、本社勤務の場合と比較すると上司の目が行き届かなくなりがちです。
勤務時間も自己申告となるため、従業員間の信頼関係に頼ることになってしまします。勤務態度や業務の進捗状況の把握もしにくいため、場合によってはこれまでの人事評価制度が適さない場合も出てきます。
勤務時間だけでなく、業務の進捗確認も共有できるツールを使用する等、新たな仕組みや評価基準を策定する必要があるでしょう。
ストレスの増加
同じ空間にいれば顔を合わせ気軽に聞けることも、違う場所にいることでその都度電話連絡やメール、チャット等を使う必要が出てきます。また顔を合わせていればニュアンスで伝わることもありますが、文字では伝わりにくいこともあり、もどかしさを覚えるかもしれません。
一人で仕事をしている感覚が強くなるため、孤独感を覚える場合もあるでしょう。そういった点でストレスが増加する可能性があります。
従業員の自己管理が重要になる
上司の目が届きにくいサテライトオフィスでは、自分で自分を律することが不可欠です。
人や環境に頼らずに勤務時間を守り、集中力を保って仕事を進めなければなりません。また自分で締め切りまでに業務を完了する計画を立て、遂行していく力が必要です。時には上司や同僚と計画を共有し、チームでの業務を進めていく必要もあるでしょう。
また、本社にいれば自然と入る情報や知識も、サテライトオフィスでは入ってこない場合があります。新しい情報や知識を自ら取りに行くことが大切になっていきます。
サテライトオフィスはうまく使えば社員にとって良い環境となり、自己成長も促すことが出来ますが、一人で仕事をすると生産性が落ちてしまう人もいます。いずれにしても社員間で密に連絡を取る必要があるでしょう。
サテライトオフィスに関する助成金・補助金制度について
テレワークマネージャー相談事業
総務省でおこなっている事業です。インターネット会議や電話などの方法で、テレワークに向いている情報セキュリティやシステム、勤怠労務管理などの情報提供や相談を実施しています。相談は無料ですることが可能で、全国各地の企業が利用できます。
サテライトオフィス設置等補助事業
東京都でおこなっている事業です。東京都では特に、従業員の自宅から近い場所にあるサテライトオフィスの設置を推奨しています。設置のために必要な整備や運営にかかる費用を補助してもらえます。
働き方革新推進支援助成金
厚生労働省が実施している制度です。時間外労働の制限など、労働環境の改善を推進する目的でサテライトオフィスなどを設置している中小企業事業主に対し、費用の一部を助成している制度です。
IT導入補助金
経済産業省が実施している制度です。中小企業や一般の事業者などが、IT機器を導入する時に活用できます。費用の半額に相当する金額を補助してもらうことができ、補助金の最高額は450万円です。
サテライトオフィスの導入方法
サテライトオフィスの全体計画
サテライトオフィスを設置することにより、部分的なオフィス移転をおこなう場合には、まず移転計画の全容を把握しておく必要があります。
企業によって組織の形態に大きな違いがあるため、組織の運営のために最適なサテライトオフィスを設置する必要があります。
まず一番初めに確認しておかなければいけないのは、どのような目的でサテライトオフィスを設置するのかということです。
サテライトオフィスで働いてもらう社員を選ぶことも重要なポイントになり、どのような業務を担当するかも事前に決めておく必要があります。
ICT環境整備
ICTとは「Information and Communication Technology(情報通信技術)」のこと。
離れたオフィスでも、必要十分なコンピューター機器や通信技術を取り入れて活用する環境を整備することが、サテライトオフィス計画の成功には欠かせません。
企業内のそれぞれの事業部のICT環境を利用すれば、短期間でテレワークを導入できますが、デバイスの性能に違いが出る場合も多いです。
それぞれの事業部のICT環境の違いを考慮しつつ、全体のICT環境を整備するのが最適な方法です。
セキュリティ対策
サテライトオフィスを設置するためには、十分なセキュリティ対策をしておくことも重要です。
企業の重要な情報が外部に流出するのを防止するためには、本社とサテライトオフィスの間で、情報の管理に関する共通のルールを決めておくのが最適です。
マルウエアやコンピューターウイルスによる情報の漏洩を防ぐために、技術的な管理を改善することも必要になります。
サテライトオフィスで働くルールづくり
情報の取り扱い以外のルールを決めておくことも、サテライトオフィスを設置する際には重要なポイントになります。
勤務管理や評価基準など、サテライトオフィスで適用される条件をしっかりと決めておけば、社員が安心して働くことができます。
サテライトオフィスの導入事例
地方自治体でも、サテライトオフィスの誘致に積極的な取り組みを行っています。
例えば、本州の中央部に位置し各主要都市からアクセスしやすい立地環境の、長野県。
長野県企業立地ガイドでもその魅力を詳しくまとめており、条件を満たせば建物や設備の取得・賃貸料・経費などを最大3億円まで助成してくれるなどの手厚いサポートが受けられます。
いきなりオフィスを構えるのではなく、まずはトライアルとして最適な「信州リゾートテレワーク」も推進しています。
各市町村でも「おためしサテライトオフィス」として、長野県東御市や長野県上田市などがオフィス空間を提供しているので、まずは体験してみるのも良いかもしれません。
特に、諏訪郡富士見町で平成27年にオープンした「森のオフィス」も人気の施設です。
ICTの活用で、働く場所にとらわれずに、東京のオフィスと同等の仕事ができます。
また、森のなかにある雰囲気の良いサテライトオフィスによって、子育て世帯や若者の移住を促進し地方創生を促すことも目的としています。
家づくりについて相談会で聞いてみよう
工房信州の家では、家づくり相談会を随時行っています。
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まとめ
オフィス移転やテレワークなどの目的で利用できるサテライトオフィスについて紹介してきました。
企業が従来設置してきた支店や営業所などとは異なった特徴を持っているのが、サテライトオフィスです。
従業員にとっては、通勤時間が短くなるというメリットがあり、企業にとってもコストを削減できるメリットがあります。
業務の効率化を希望している企業などは、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
事例でもご紹介した長野県は、サテライトオフィスとしてぴったりの場所。
首都圏とのアクセスが良く抜群の利便性を備えるとともに、生活環境にも恵まれ従業員満足度を高める秘策にもなり得ます。
長野県のオフィスにご興味のある方は、サードオフィス のページもご覧ください。
私たちは設計士や施工管理士といった建築のプロでありながら、全社員が「信州コンシェルジュ」として豊かな信州ライフをサポートしていきます。
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