~信州の地質ノート~ 河岸段丘から読み解く伊那谷の成り立ち
皆さんこんにちは!
古牧展示場の小林です。
信州の地質ノート第3弾!
なんと嬉しいことに、次は【伊那谷】を書いてほしいと、社内で要望があり、
書かせていただきました。
ちょっぴり嬉しい小林です。笑
ということで、伊那谷について見ていきましょう!
◯伊那谷
伊那谷(伊那盆地)というのは
南信に位置し、
中央アルプス、南アルプスに挟まれた伊那盆地のことを言います。
南北にとても長いですね!
東を向けば、南アルプス!
西を向けば、中央アルプス!
たまらないですね!
では、じっくり伊那谷を見ていきましょう!
◯河岸段丘はどうやってできたのか?
伊那谷といえば、河岸段丘が特徴的です。
伊那谷の西側を見ると、段差面があるのがおわかりでしょうか?
これを【河岸段丘(かがんだんきゅう)】と呼びます。
(河岸段丘(かがんだんきゅう) (mlit.go.jp)より)
一般的には、河川が流れることで、浸食され、川の側面や底面を削られてできる地形です。
伊那谷では、天竜川がこの地形をつくったと考えられていました。
ですが、天竜川の影響だけではないと、最近わかってきたのです。
もう一つの要因は、【断層活動】です。
西側の中央アルプスが、隆起することにより、断層ができ、段差をつくったと考えられています。
言葉だけじゃイメージわかないですよね。
こちらをご覧ください。
(出典:大鹿村中央構造線博物館HP)
伊那谷の成り立ちです。
伊那谷はかつては、ほぼ平地だったんですね。
南アルプスができ、後に中央アルプスができました。
なんと250万年もの年月をかけてできています。
信州の大自然は、とっても長い歴史があるんですね!
すごい!!
◯伊那谷を一望する豊丘村の名所
そんな伊那谷を一望できるスポットが、
豊丘村にある【福島てっぺん公園】
です。
昼は、伊那谷の素晴らしい眺望を、夜には夜景をご覧いただけます。
是非一度、足を運んでみてください!
◯南北の移動を阻む田切地形
もう一つ、伊那谷が持つ、面白い地形をご紹介します。
田切地形という地形があり、それを代表するのが伊那谷です。
どういう地形かというと、
傾斜地を流れる河川において、両側が崖状になっている地形、です。
滾る(たぎる)という言葉が由来だそうです。
赤丸のところですね。
田切という駅があったり、
太田切川、与田切川、中田切川という、河川もあり、
地形が、地名や、河川名にもなっています。
この地形が、伊那谷の人々を苦しめたんです。
河川と段丘面の高低差が50m以上のところもあり、
田切川のせいで、南北の移動ができないんです。
川の上流まで登り、川を渡って、降りてこないといけない。
移動に苦労していたんですね。
特に、鉄道や、主要道路を見るとわかります。
大きなカーブをしていますね。
田切のΩ(オメガ)カーブとも言うみたいです。
ゆったりカーブを走る車窓からの長めも抜群です。
春夏秋冬、景色が変わるので、地元の人からは愛される飯田線です。
特に、田に水がはられる田植え時期の4~5月が見頃だそうです!
電車に揺られ、信州をのんびり楽しむ、
そんな一日も良いですね!
ということで、信州の地質ノート、伊那谷編でした!