こんにちは!諏訪展示場の横地です。
どんどん寒さが厳しくなり、3000m級の山々はより一層白く染まっています。
街中でも朝夕の冷え込みが特に厳しく、車のフロントガラスが凍る季節になりました。
そろそろタイヤもスタッドレスタイヤに変えなければいけません。
話は変わりますが、実は「横地の山ブログ」が今回投稿する記事で80本になりました!
記事を書き始めておよそ2年半。
たくさんの方に読んでいただき、信州の山の魅力をお届けしてきました。
まだまだ書き足りていないので、これからもどんどん書いていきたいと思います。
さて、今回の山ブログは前回に引き続き「山の基礎知識」と題しまして、南アルプスを深堀してみたいと思います。
私自身南アルプスはほとんど登ったことがなく、調べてみて初めて知ったこともたくさんありました。
北アルプスとは違う魅力を感じていただけたらと思います。
~南アルプスってどんなところ?~
そもそも「南アルプス」とは、赤石山脈のことを指します。
長野県、山梨県、静岡県にまたがる南アルプス(赤石山脈)は、中央アルプス、北アルプスと合わせて日本アルプスと呼ばれています。
2014年には南アルプスユネスコエコパークに登録され、自然と文化が融合する地域として注目されています。
山に馴染みのない方にとっては「南アルプス=天然水」というイメージが強いかもしれませんが、
実は南アルプスは日本で2番目、3番目に高い標高の山があったり、ほとんど人の手が入っていない深い森が広がっていたりとたくさんの魅力があります。
特に深南部と呼ばれるエリアは登山口まで非常にアクセスしづらかったり、山小屋が少ないため、登山客がとても少ないことが特徴です。
熟練の登山者ほど南アルプス深南部を好む傾向にあるかもしれません。
~南アルプスの区分~
赤石山脈(南アルプス)と言っても、実は4つの山脈から構成されています。
まず1つ目は、「甲斐駒山脈」です。
甲斐駒ヶ岳~鳳凰三山~夜叉神峠~身延山まで、主に山梨県側を走る山脈です。
甲府盆地から西側に見える山々が甲斐駒山脈ということになります。
続いて2つ目が「白峰山脈」です。
南アルプス最高峰の北岳や、北岳の次に標高の高い間ノ岳などが含まれます。
北岳、間ノ岳、農鳥岳は白峰三山とも呼ばれ、南アルプス屈指の人気エリアです。
3つ目は、「赤石山脈」です。
ここで言う赤石山脈とは、「赤石山脈=南アルプス」ではなく、狭義の名前になります。
非常にややこしいので細かい説明は省略します。興味のある方はご自身で調べてみてください。
この山脈は、赤石岳や塩見岳、聖岳など3000m級の山々を含みます。南アルプスの主稜線という感じでしょうか。
最後4つ目が「伊那山脈」です。
この山脈はいわゆる里山が連なるもので、標高自体は2000m未満と低く、一般的には南アルプスと認識されることはあまりないです。
伊那市から、甲斐駒ヶ岳や仙丈ケ岳などの手前に見える樹林帯の山が伊那山脈にあたります。
以上4つの山脈が構成しているのが南アルプス(赤石山脈)です。
山脈や山地の明確な定義はなく、どこまでを含むのかは今でも議論されています。
~南アルプスができるまで~
ここからは南アルプスの形成の歴史を見ていきたいと思います。
北アルプスは火山の噴火が起因となり現在の形になっていますが、南アルプスは大陸の隆起によって形成されました。
現在の南アルプスや中央アルプスがある南信地域(伊那市、飯田市など)は天竜川を中心に大きく窪み、東に南アルプス、西に中央アルプスがそびえる伊那谷と呼ばれる特徴的な地形をしています。
しかしおよそ300万年前は南アルプスも中央アルプスも隆起しておらず、ほぼ平坦な地形だったとされています。
隆起が始まったのはおよそ180万年前。
中央構造線と糸魚川ー静岡構造線の間に挟まれた部分が隆起しました。
およそ100万年前になると隆起のスピードが上昇し、約4000mほどまで隆起したと考えられています。
その後風雨による浸食で約2000mほど削られ、現在の南アルプス(赤石山脈)が出来上がりました。
実はいまだに隆起は続いており、100年間で最大40㎝の上昇が観測されている地域もあるそうです。
引用:大鹿村中央構造線博物館
~おすすめの山~
それでは最後に、南アルプスのおすすめの山3座をご紹介します。
①美しくも荒々しい「甲斐駒ヶ岳」
個人的には南アルプス=甲斐駒ヶ岳というイメージを持っているくらい、南アルプスを象徴する名峰です。
長野県伊那市と山梨県北杜市の境に位置し、日本百名山に選定されています。
長野県側から登る北沢峠ルートは登りやすく、山梨県側から登る黒戸尾根は日本三大急登に数えられるほどの難関コースです。
とにかく山容がかっこよく、特に茅野市や原村からはピラミッド型の荒々しい形が印象的です。
②南アルプス最高峰「北岳」
標高3193mの北岳は南アルプス最高峰であり、国内第二位の標高を誇ります。
隣り合う間ノ岳は日本第三位の標高のため、北岳と間ノ岳の間の稜線は日本最高所の稜線であり、「天空の散歩道」と呼ばれます。
そんな北岳には固有の植物が複数種あり、特にキタダケソウは開花の時期になると多くの登山者が訪れます。
③深い森とアルプスの絶景を楽しむ「塩見岳」
3つ目にご紹介する山は、割とマイナーな塩見岳です。
南アルプスのほぼ中央に位置し、「南アルプスのへそ」と呼ばれます。
周囲に高い山がないため、北アルプスや中央アルプス、富士山などの絶景を楽しめます。
~南アルプスは冒険心をくすぐられる~
北アルプスに比べるとアクセスがしづらいですが、その分登山者が少なく静かな環境を楽しみたい方にはおすすめです。
また、山だけでなく山小屋も個性豊かなところが多く、山小屋目的で登るのもありかもしれません。
皆さんもぜひ遊びに来てください!