リモートワークの普及に伴い、注目される転職なき移住。場所の制限がなくなり、好きな所で暮らしながら仕事を続けることができるようになってきました。ここでは転職なき移住のメリットや実現するためのポイントなどを詳しくご紹介していきます。
目次
- 政府が提言する転職なき移住とは?
- 転職なき移住が推進される背景
- 転職なき移住が移住者にもたらすメリット
- 転職なき移住を後押ししている地方自治体の事例
- 個人が転職なき移住を実現するためのポイント
- 移住について相談してみよう
- まとめ
政府が提言する転職なき移住とは?
「転職なき移住」とは、現在の職場やキャリアの変更(転職)を伴わずに、別の地域へ移り住むことを指します。
新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、テレワークの普及や地方移住への関心が高まる中、政府は東京圏に立地する企業などに勤めたまま地方に移住して地方で仕事をする「地方創生テレワーク」を推進することを示しています。
政府が提言する「転職なき移住」には、通常、地方創生や地域振興を目的として、人口の分散や地方への移住促進を図るための施策が含まれます。これは、都市部の過密や地方の過疎化など、地域間の人口格差を緩和し、地方の活性化を図るための取り組みでもあります。
転職なき移住が推進される背景
転職なき移住が推進される背景には、いくつかの要因が存在します。
新型コロナウイルス感染症の拡大は、私たちの働き方に大きな変化をもたらしました。
企業が積極的にテレワークを取り入れるきっかけになり、東京都23区では4割以上の方々がテレワークを経験しています。また、働く場所や時間の自由度を重視し、地方移住や、ワークライフバランス充実への関心が高まるなど、国民の意識・行動も変容してきています。
こうした背景から、新たな働き方として、東京圏に立地する企業などに勤めたまま、地方に移住して地方で仕事をする「転職なき移住」を推進することは、「地方への新しいひとの流れ」につなげ、「地方分散型の活力ある地域社会」の実現や「東京圏への一極集中是正」を解消することにつながります。
また、「転職なき移住」は、ワークライフバランスの追求に応える一つの手段でもあります。
特に都市部での高い生活費や交通渋滞などの問題に直面した場合、住みやすい地域への移住を検討することがあります。しかし以前は、地方移住を検討する際の障壁として、年収が下がる、キャリアを活かせる仕事がない、といったことがありました。しかしテレワークの推進により、こうした問題が解消され、地方移住を検討しやすい環境が整いつつあります。転職なき移住は、より豊かな環境や自然に近い暮らしを求める人々にとって魅力的な選択肢となり得るのです。
参考:「転職なき移住」による地方への人と地の流れの創出(内閣府)
転職なき移住が移住者にもたらすメリット
転職なき移住は、移住者にいくつかのメリットをもたらします。ここでは、転職なき移住のメリットについてみていきましょう。
キャリアや収入を維持できる
地方移住の最大の障壁であった仕事の問題。そもそも地方で希望する仕事を見つけられるだろうか。そのための転職活動に要する時間やお金。都市部と比べ給与水準が低い地方へ移り住むことで、収入が減り生活水準が下がることなど、「仕事の問題」は地方移住の大きなハードルでした。しかし転職なき移住は、今の仕事をそのまま継続できるので、キャリアが途切れたり収入が減ることなく地方での暮らしをスタートすることが出来ます。
生活の環境・コストの改善
移住先が都市部から田舎や自然豊かな地域になる場合、移住者はより清々しい環境や自然に囲まれた暮らしを享受することができます。都市の喧騒やストレスから離れ、より静かで穏やかな生活を送ることができるでしょう。また、都市部では高い生活費がかかる場合がありますが、移住先が費用の面でより低く抑えられる地域であれば、生活費を削減することができます。住宅や食料品、交通費などの費用が都市部に比べて安くなることがあります。
ワークライフバランスの向上
都市部では忙しい生活や長時間労働が一般的ですが、移住先がよりのんびりとしたペースの地域であれば、ワークライフバランスが改善される可能性があります。余暇の時間や自己の充実度を高めるために活動する余裕が生まれるでしょう。また、自然に近い地域への移住では、美しい景色や自然環境を楽しむ機会が増えます。アウトドア活動やレジャーをより身近に楽しむことができ、ストレスの解消や健康増進につながるでしょう。
コミュニティの形成
都市部では人々との繋がりが薄れる傾向がありますが、移住先の地域では地域のコミュニティや人々との交流が深まる機会があります。地域のイベントや活動に参加したり、地域住民とのつながりを築くことで、より充実感や支えを得ることができるでしょう。
これらのメリットは個人の希望や価値観によって異なるかもしれませんが、移住先の環境やライフスタイルの変化によって、より満足度の高い生活を送ることができる可能性があります。
転職なき移住を後押ししている地方自治体の例
既に全国に転職なき移住を後押しする体制を整えている自治体があります。ここではそうした地方自治体の例をみていきましょう。
福島県 会津若松市
会津若松市では、全国に先駆けて「スマートシティ」を推進しており、その取組みの一環として、2019年に開所した「スマートシティAiCT」という施設があります。
首都圏などのICT関連企業が機能移転できる受け皿として整備されたオフィス環境施設です。オフィス棟には500人規模の入居が可能で、2022年11月時点でアクセンチュア、凸版印刷、三菱商事など、24の世界に展開する企業が入居しており、コワーキングスペースにもパナソニックや日本マイクロソフトなど21企業が入居しています。ICT関連企業の集積により、首都圏からの新たな人の流れと雇用創出を目的としています。
参考:会津若松市スマートシティAiCT -ICT関連産業の集積-
長野県 富士見町
長野県富士見町は、東京圏から約2時間でアクセスできる、長野県で最も東京に近い町です。利便性がよい立地でありながら雄大な八ヶ岳を望む自然環境は多くの方を魅了しています。
「森のオフィス」という官民一体で運営をする有名なコワーキングスペースがあることで、移住を検討中の方から注目されています。森のオフィスは個室型オフィスやコワーキングスペースだけでなく、複数の会議室や食堂もあります。ビジネス交流拠点として、東京圏の人々の利用だけでなく町民も気軽に利用できるようなイベントも定期開催。移住者が地域の方々と繋がる場にもなり、交流や新しいビジネスが生まれています。
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和歌山県 白浜町
和歌山県の白浜町は、ワーケーションの聖地と言われています。コロナ禍以前から、全国の自治体に先駆けてワーケーション推進に取り組んできたのが白浜町でした。
首都圏からのアクセスも良好で、和歌山県唯一の南紀白浜空港を有し、1日3便、羽田空港から約1時間でアクセスできます。また、全国トップクラスのネットワーク環境(耐災害ワイヤレスメッシュネットワーク)が特徴で、ICT企業誘致のための町営ITビジネスオフィスを2棟運営、2020年には民間の3棟目のITオフィス施設がつくられました。いずれも満室です。美しいビーチのある町で、豊かな自然を満喫しながらワークライフバランスを高める働き方ができそうです。
個人が転職なき移住を実現するためのポイント
ここからは自分で転職なき移住を実現するために気を付ける点やポイントを紹介していきます。
在籍している会社にフルリモート勤務が可能か確認する
転職なき移住を実現するために必須となるのが、「フルリモート勤務」が可能であること。地方移住を進める前に、会社への勤務形態の確認が必要です。フルリモート勤務が認められていれば、地方移住へのハードルもぐっと下がるでしょう。しかし、リモート勤務が基本でありながら、週に一度や月に数回、出社を求められるケースもあります。
その場合、定期的に首都圏への通勤が必要となるため、首都圏へのアクセスの良い地域への移住がおすすめです。飛行機や新幹線など、交通の便を確認し、通勤に支障がないエリアを選ぶことも重要です。
東京圏へアクセスしやすいエリアを選ぶ
フルリモート勤務であれば、東京圏へのアクセスを考慮することなく、どこでも好きなところへ移り住むことができます。
しかし実際には、リモート勤務が基本でありながら、定期的に出社が必要なケースが多いようです。転職なき移住をする場合、東京圏へのアクセスを重視しながらエリア選定をする方が多いです。地方の自然環境豊かな地でゆったりと暮らしながら、東京圏へのアクセスも良いエリア選定と土地選びが重要です。
例えば長野県であれば、新幹線駅のある佐久市は転職なき移住を考える方にとても人気のエリアです。新幹線で90分で東京までアクセスができます。せっかく信州で暮らすなら雄大な山々を眺め自然に囲まれる暮らしがしたい、という方には富士見町や原村などの八ヶ岳エリアがおすすめ。東京圏へ車で2時間でアクセスできるため、こちらも転職なき移住を考える方に人気です。ワークライフバランスを高めることができる、ベストなエリア選定が出来ると良いですね。
移住先のリモートワーク環境を整える
転職なき移住をした場合、移住先でリモートワークをする必要があります。どこで仕事をするのか、ネットワークに問題がないかなど、リモートワークをする環境を整えておくことが必要です。
例えば自宅でリモートワークをする場合、ワークスペースの確保は必須となるでしょう。新築の場合は、書斎のような仕事に集中できるスペースを設けることをおすすめします。自宅のネットワーク環境の整備も必要です。
自宅以外にも、コワーキングスペースのような場所で仕事をする、という選択もあります。そうした場所はネットワーク環境が整っている場合が多いので、その点の問題はありませんが、月々の契約等必要になる場合があり費用もかかることが一般的です。しかし、そこに集まる人々と交流できる場合もあるので、新たな価値の創造につながることも。自宅との行き来が生まれることでオンオフの切り替えもしやすくなるでしょう。
移住について相談してみよう
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まとめ
いかがでしょうか。リモートワークが普及し、働き方や暮らし方の選択肢が大幅に増えました。
政府が推進する転職なき移住は転職を伴う移住に比べ、仕事を変える必要がないため移住のハードルがとても低くなりますよね。海や山の景色を望む暮らしをする。休日にはアウトドアレジャーでリフレッシュ。子どもと一緒に家庭菜園を楽しむ。そんなのびのびとした豊かな暮らしが叶います。追い風に乗って、好きな場所への移住を検討してみてはいかがでしょうか。
私たちは設計士や施工管理士といった建築のプロでありながら、全社員が「信州コンシェルジュ」として豊かな信州ライフをサポートしていきます。
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