天然乾燥ストックヤード

県産材の魅力を最大限引き出す天然乾燥

一般的に、製材した木材を乾燥させる方法は2つあります。機械を使った「人工乾燥」と、太陽と風の中で自然に乾燥させる「天然乾燥」です。現在、多くは効率を優先して人工乾燥されていますが、私たちは駒ヶ根市に天然乾燥ストックヤードをつくり、常時30棟分の木材を天然乾燥させています。

天然乾燥ストックヤード

天然乾燥させた材には次のような特徴があります。
 

天然乾燥材の魅力

  1. 色ツヤが美しい
  2. 節が抜けにくく、綺麗な節目
  3. ねばり強い強度
  4. 人工乾燥と違い、化石燃料を使わないので環境に優しい

天然乾燥材

 

《標準横架材の製造工程》

梁・桁

杉  : 120×180、240、300、330
唐松 : 120×120
 ※化粧材は杉のみ


原木購入

【原木購入】

県内各地で切り出されてきた原木を市場にて購入。


運搬

【製材所への運搬】約1週間

・工房信州の家、家づくりグループ一員の製材所(※)へ原木を搬入。
※長野県より「信州木材製品認証工場」の認定を受けています。


製材

【製材-1】約2週間

製材所にて、材の皮剥き、荒挽き等を行います。
・ 乾燥収縮を見込んだ大きさに製材


高温セット

【高温セット処理】数日間

材の質を高め、無駄なく有効利用する為の処置を施します。
・ 伊那市高遠の木材乾燥機を利用。
 →水蒸気による蒸射温度 : 120℃
        処理時間 : 12~24時間
・ 高温セット処理による利点
  (1) 虫の駆除
  (2) 材の表面割れの削減
  (3) ヤニ取り(唐松)
  (4) 天然乾燥材と同じ色味の保持


天然乾燥

【天然乾燥】約9か月以上

駒ヶ根市のストックヤードにて天然乾燥。
・ ストックヤードは30棟分の材を貯蓄可能。
・ 人工乾燥では材表面が黒くなってしまいますが、天然乾燥では木本来の色味をそのまま生かせます。
・ 人工乾燥に比べ、環境負荷を低く抑えられます。
・ 強度試験の結果、人工乾燥材と遜色ない強度をもつことを確認。
・ 検査により、含水率20%以下を確認して出荷します。


製材

【製材-2】約2週間

乾燥後、製材所にて製品寸法へ加工(摺り直し)。
・ 乾燥による材の反りや曲がりを補正


プレカット

【プレカット加工】約2週間

伊那市高遠・都築木材様プレカット工場にて仕口・継手加工。
・ 都築木材様は工房信州の家づくりグループの一員です。
・ 太鼓梁や特殊材は手加工になります。


邸別作業所

【邸別作業所へ搬入】


 

《標準柱材》

柱・通し柱

 県産材の杉(人工乾燥):120角(四寸角)
※人工乾燥は「高温高湿乾燥機」を使用

 

天然乾燥材と人工乾燥材の強度比較実験

試験方法

●針葉樹の構造用製材の日本農林規格(JAS)に従い、最大節径、集中節径、年輪幅を測定し、柱角(乙種)としての目視等級格付けを行った。

 

柱角(乙種)としての目視等級格付け


●スパン2160mmの3等分点荷重方式で曲げ試験を曲げヤング係数、曲げ強さを算出した。

 スパン2160mmの3等分点荷重方式

スパン2160mmの3等分点荷重方式


●天然乾燥材の破断実験破断までの時間・・・約10分

天然乾燥材の破断実験破断までの時間・・・約10分


●人工乾燥材の破断実験破断までの時間・・・約7分

人工乾燥材の破断実験破断までの時間・・・約7分

結果

結果

●人工乾燥材よりも天然乾燥材の方が、ねばり強いという結果が得られた。
●天然乾燥材の表面の割れは、強度に対して影響していない。

強度比較実験 測定項

●全長 ●幅 ●重量 ●一番大きな節の幅 ●節の集中による幅合計 ●ヒビ割れ長さ ●含水率(測定機械と全乾燥状態) ●材料の強度試験 ●ヤング係数測定

強度比較実験 測定項強度比較実験:測定項試験場:長野県林業試験総合センター(塩尻市)
試験日:平成19年11月13日
実験材料: 県産材天然乾燥材 120×120×3000 22本
九州宮崎材人工乾燥材 120×120×3000 20本