土間キッチンに暮らす、27坪の家

住宅雑誌住まいnet信州 茅野市の家

エリア別|諏訪エリア

家族が集う『土間サロン』

 

眺望のいい高台に建つ別荘のように

せっかく信州に暮らすなら、毎日のなかで山々の眺めを楽しんだり、四季をそばで感じたいと思う。それには、自然や人に気負うことなく寄り添うこと。そんな無垢な心を教えてくれる、風通しのよさ、屈託のなさを思わせる家。

工房信州の家のこだわりである『土間サロン』に、キッチンと薪ストーブをもうけた

W邸では、工房信州の家のこだわりである『土間サロン』に、キッチンと薪ストーブをもうけた。薪ストーブは土間にある方が取り扱いが楽で安心だし、キッチンと同じフロアにあれば料理にも使いやすい。気軽さの中にも機能性を追求したアイデアが光る。

ご主人がこだわった玄関ドアで、別荘をイメージさせるテイスト  

ご主人がこだわった玄関ドアで、別荘をイメージさせるテイスト

ご主人がこだわった玄関ドアで、別荘をイメージさせるテイストも加わった。板壁にした1階の外壁とも相性がいい。

 

暮らしに馴染んで、周りの景観にもよく似合う

暮らしに馴染んで、周りの景観にもよく似合う

個性を魅力的に見せるためには、いくつか条件がある。まず「あ、そうきたか」という驚きがあること、次にそのスタイルがちゃんとこなれていること、そして、どうにかして真似てみたい、と見る側の心を動かすことだ。

W邸はちょっと変わっている。つくりのいい玄関ドアを開けると、靴脱ぎがなくて、すぐにもう一枚引き戸がある。その先は『土間サロン』になっていて、直接リビングや畳スペースへ上がる。普通の家に見られるようないわゆる玄関はない。その代わり、『土間サロン』が玄関であり、薪ストーブの置き場所であり、そしてキッチンでもある。その割り切り方に「やられたな」と感じる。

夫妻は結婚を決めたとき、「借りるよりずっといい」と最初から家をつくることにした。婚姻届より家の契約の方が早かったくらいだ。パートナーとして工房信州の家を選んだのは、諏訪のモデルハウスに行き、その自然な風合い、長野県の木材をめいっぱい使っていること、家全体が醸し出す空気感に好感をもったからだ。

コンセプトにしたのは「楽」。楽しくて楽な家である。大きな家はいらない。コンパクトな方が楽だ。長く住める家の方が楽だ。工房信州の家の広がり間取りなら、家族が成長したら間取りを考え直す自由さもある。そして、余計なものを増やさずシンプルに暮らした方が楽しい。

土地は460坪ある。けれど家は30坪に満たない。ただし、景色を優先してリビングの窓の位置を決めたと言うとおり、甲斐駒ヶ岳をはじめ、秀麗な山々が一望できる。周辺の自然環境や別荘地のような雰囲気を壊さぬよう、建物の高さは極力抑え、1階の外壁を板張りにすることで落ち着きをもたせた。すごく当たり前にこの風景に馴染んでいる。

取材の日、奥様にお話を聞いていると、外から帰ってきたご主人が、薪ストーブの脇の小さな花入れに手にしていたシンビジウムを生けた。蘭農家のご主人が丹精込めた花だ。いつもこんなふうに、見晴らしのいい窓から差す日の、ほっこりしたぬくもりみたいに暮らしているのだろう。そんな家族だから、『土間サロン』にキッチンのある家がすごく様になっているのだ。

「楽」といって気負わない二人の暮らしぶりが、何ともうらやましいお手本に思えた。

 

『土間サロン』とリビングが一体となった間取り

『土間サロン』とリビングが一体となった間取り。「飯は畳の上で食べたい」というご主人の希望で、ダイニングは畳に座卓というスタイル。

『土間サロン』とリビングが一体となった間取り

 

『土間サロン』と玄関のたたきはバリアフリー

『土間サロン』と玄関のたたきはバリアフリーで連なって、玄関ポーチへと出る。

『土間サロン』は家族が心を通わすスペース

『土間サロン』は家族が心を通わすスペースでもある。小さく気負わずつくることが、家族の距離感にもよい結果になった。

キッチンに立つと家中が視界に入る

キッチンに立つと家中が視界に入る。家族の気配もすぐ近くに感じられる。

 

吹き抜けに向かう2階は、天井高を抑え隠れ家的な趣も

吹き抜けに向かう2階は、天井高を抑え隠れ家的な趣も。
今はフリースペースだが、お子さんが入学したら子供部屋にするなど、柔軟に対応するつもり。

主寝室。シンプルで清潔感ある空間

主寝室。シンプルで清潔感ある空間。

 

2階フリースペースの机

2階フリースペースの机。将来お子さんの勉強机になっても、階下で呼ぶお母さんの声がすぐに聞こえる。

新居完成の翌年には家族も増えた

新居完成の翌年には家族も増えた。お子さんはこの家とともに成長していく。

エアパスソーラー工法のダンパーを開閉する引き子

エアパスソーラー工法のダンパーを開閉する引き子。木を使いアナログなぬくもりもある。

 

Voice

Wさんご家族

Wさんご家族

Q1

家の中で一番大切なモノは?

A

家の中のどこにいても人の気配が感じられること。長く使える家にすること。

Q2

こうしておいてよかった、と思ったことは?

A

エアパスの他、庇の長さ角度を工夫するなどパッシブデザインを取り入れたこと。

Q3

工房信州の家に頼んでよかったことは?

A

モデルハウスに入って感じた空気感。新築なのに自然と体に馴染んでくれるような優しさがあること。

●著作権について
このページに記載されている記事本文、写真等は「住まいNET信州」VOL.22より転載しています。
こちらの情報の著作権は、住まいづくりデザインセンター信州に帰属します。

 

Data
  • 竣工 H24年5月
  • 延床 27.43坪(90.67㎡)
Staff

 

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